昨日でお盆も終わり、京都で大文字焼きが行なわれました。
僕は昨日は京都の下加茂神社に行き、古本市で本を買ってすぐ帰りましたから、文字焼きは見ませんでした。残念ですが、夜8時以降でしたからしかたがありません。
夏も終わりに近づきましたが、まだまだ暑い日が続きます。尖閣諸島、竹島上陸。ある記事では、「韓国はもはや友好国ではありえない、天皇陛下に来るなら本気で謝ってから来い、とはなにごとか。侮辱も言いがかりもいい加減にして欲しい」と。同感。
さて、暑いなか、
「不均衡進化論」 古沢満著 筑摩書房 2010年
を読みました。
著者は大阪市立大学理学部助教授です。
数多くある進化論の本のなかでこの本は、DNAの複製にポイントをあて、その複製メカニズムから遺伝子情報のコピー誤りが特異的・不均衡に発生するとの仮説を立て、その結果進化が起こるという事を分子レベルで説明されています。
DNA二重鎖の複製時には、二重の鎖が解けて、それぞれ一本の鎖に鋳型を当てはめたかの如く元の二重鎖を作るのですが、これら二本の鎖の出来あがり方が同じでないというのです。
つまり、1本の複製はほとんどエラーなしに複製されますが、もう1本の複製にはエラーが多く発生するという仮説です。
1本は複製にあたり、開始点からスムースに連続的に行なわれるのですが
もう1本は、複製にあたり、多数の領域に分けられ、ガタガタとした感じで分割複製。複雑な多くの手間がかかっています。
このように不平衡な複製メカニズムが働き進化に影響をあたえているというもの。
メカニズムは、理屈としては納得ができ、なるほどと思ったのですが、まだ学会で認知されていないようです。興味ある方は実本を読んで下さい。(私が紹介すると誤った紹介になりそうですから)
いずれにせよ、この仮説は「元本保証された多様性の創出」になるのです。
つまり、1本の複製には本々の遺伝子をそのまま持たせ、別の複製には遺伝子に多様な変異を与えている、「いいとこ取」の戦略をDNAが取っているというのです。環境が変わらなければ、変化の無い元の遺伝子が生き残り、環境が大きく変わればその環境に適し・変異した遺伝子が生き残るという理屈です。
そして、この不均衡進化論を採用すると多くの進化の謎が解けるのです。
例えば、
カンブリア爆発の謎、断続平衡現象、
さらに現実の大腸菌の変異体のコンピュータシミュレーション例とか。
その他たくさん。
読んでいくと、興味ある(私には)事実が次々と書かれてあり、また研究の最前線もある程度書かれてあり、そして研究の内容も具体的な事が多くかかれてあるので、入門書の1冊として推薦します。
この本は、以上のように論文のわかり易い説明集で、著者の積年の蓄積が盛り込まれは渾身の著作だと感じました。ですから、私の「ちゃちゃ」の入る余地がありません。
しかし、この仮説が事実かどうか、これからの研究を見ていきたいものです。