現実的なデジタルコンピュータにおいては、情報はトランジスタのオン・オフのビットで表現される場合が多い。この場合ビットの影響は配線により接続されている次段のトランジスタに及ぶ。

このビット情報は物理的・電気的方法で確認でき表象的意味は観測者の認識機能により解読される。

このように、古典的情報は局所的かつ可観測で再現可能だ。


一方、最近はやりの、量子ビットというものは、そういう訳にはいかない。観測可能で再現可能だが、すこしニュアンスが異なる。一度観測してしまえば波動関数が収縮してしまい、状態が固定される。量子コンピュータの本をよめば詳しく書かれている。


量子ビットを使った量子コンピュータは量子効果のごく一部をつかった応用技術であるのだが、量子エレクトロ二クスの領域はもっと広く拡がっている。


量子コンピュータは入力状態と出力状態全てをふくめた波動関数であり、それら全てを人工的に用意をして始めて計算が出来る。


しかし、量子状態および量子環境は、自然界には無数と存在しており、情報は古典的情報だけではない。


例えば、

光の粒子1個だけでも、波のように干渉を起すことが出来るのが実験により証明されている。回折現象、干渉現象などあたかも多くの光子が存在しているかの現象が1個の光子で観測されるのだ。


つまり、言葉を変え言うと、物体もエネルギーも存在しない(直接物理的観測ができない)空間に何かが存在しているようなふるまいをする。さらに言えば、何もない空間が因果関係を成立させる。


と言う事は、古典的な情報表現では不十分であると言う事を意味しており、新たな情報の表現法が求められている。


その一つが量子ビット(キュービット)なのだが、

脳内の神経活動においてこの新しい情報の表現法・量子的表現が確立されるか、と言う事が、問題になってくる。

古典的情報の表現法だけでは不十分なのではないかと言う事だ。


生命体は全ての自然現象をつかい、自身を確立させている。すべての物理現象である。勿論量子効果もそれ以外の現象をも含む。

これら現象がどのように情報として脳内で活動しているのか、なにから何までわかっていない。

神経系と筋肉系のシステムにおいては古典的情報活動の解釈で十分だろうが、意識を解明する為の模索には不十分なのだ。


量子エレクトロ二クスの知識を嚆矢として、量子現象の脳内機能への波及を、特に意識創生の解明に一つの可能性として考慮すべきではないだろうか。