よく知られていることであるが、量子コンピュータが分子1個で成り立つと言われている。1996年にスタンフォード大学のチャンさんが核磁気共鳴(NMR)装置を用いて量子計算を行なうというアイデアを提案した。

最近はイオントラップ技術を使ったイオントラップ型量子コンピュータが研究されている。

いずれにせよ、原子1個レベルのビット操作で信号処理が出来ているのだ。


一方、翻って考えてみるに、脳内には数え切れないくらい無数の原子、分子、イオンが存在しており、お互いに量子的絡み合っている。当然その絡み合いの初期値がどのようなものなのかとか、コーヒーレンス時間がどの程度なのか、情報の表現がどのようなものなのかとか、が全くわからないのでなんとも言えないのだが、脳内情報を担っていてもおかしくない。つまり脳内原子1個の物理的存在が情報の担い手にもなれると言う事である。


とくに意識という特殊な情報は、情報その物の自立により創生されると言われているのが正しいとすれば、原子、分子、イオンの一つ一つの物理状態で成り立つと考えても不思議ではないし、目に見えないくらい小さな物理存在による情報であってもかまわないはずである。なぜなら情報の意味には物理存在の大小に関係がないと思われるからである。情報そのものには大小はなく、意味のみが存在するのだ。


意識の意味は別の情報(物理存在)が理解するのであるから、意識を見つけるには、脳内で理に叶った因果連鎖が、筋肉活動と意識現象とが同時に成立する、条件を見つければいいのである。