自分の創作における信念(朴信浩監督より) | ACT FACTORY TOPIX公式ブログ

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自分の創作における信念

皆様、朴信浩です。今日は自分の創作における信念についてお話ししたいと思います。まずは、以下に紹介する映画のストーリーを読んでみてください。

仕事の見つからないアルコール依存症の弁護士フランク・ギャルヴィン。彼は今日も新聞の死亡欄を確認して見ず知らずの人物の葬式会場に出かけ、「困ったことがあったら力になります」と悲しみに暮れる遺族に名刺を渡して回るという惨めな営業活動を続けていた。
しかし、中にはそれに怒り出す人々もいた。「人の不幸に付込んで何の真似だ」と。すっかり自己嫌悪に陥ったギャルヴィンは、ひたすら酒を煽って気を紛らすしかなかった。そんな姿を見かねた先輩弁護士ミッキーが、簡単に済みそうな訴訟を世話してくれることになった。
出産のために入院した主婦が麻酔時のミスにより植物状態に陥ったという事件。事を穏便に済ませたい病院側が示談に応じるのは見え見えだった。また実際に、背後にカトリック教会を控える病院側の大手弁護士事務所は多額の和解金を提示して、示談に応じるよう申し入れてきた。権威におもねる判事もこれを飲むよう忠告する。
ギャルヴィンは主婦が入院中の病室を訪れる。昏睡中の主婦の哀れな姿を写真に撮っておき、それを突きつけてなるべくたくさんの示談金を引き出そうというのだ。1枚、また1枚とポラロイドでその主婦を撮影するギャルヴィン。これで楽に勝てる。思わず顔が綻んだ。
しかし、そこで見たのは自力で呼吸することすらままならず、全身を機械で繋がれた生ける屍の姿だった。出産のためにただ病院に行っただけで全てを奪われた平凡な主婦。その姿を見つめるギャルヴィンの心に、忘れていた何かが蘇ろうとしていた。

映画『評決』ストーリー 主演ポール・ニューマン ウィキペディアより抜粋

そして、ポールーニューマンが演じる弁護士ギャルヴィンは、単なる示談の成立にとどめるのではなく家族を説得し、訴訟へと導きます。そしてギャルヴィンは、医療ミスの証拠を見つけるために東奔西走しますが、病院側の隠蔽工作などにより、一向に証人、証拠が見つからずぼろぼろに成り果ててしまいます。しかしギャルヴィンはあきらめず、この出産のオペを切っかけに、病院をやめた看護師をやっとのことで見つけ出し、ついに医療ミスの真実を暴いたのです。

アル中で仕事にも意欲がない人間であったギャルヴィンが、なぜ楽勝の示談で終わるはずだった案件を、あえて訴訟に持ち込んだのでしょうか。自分はこう考えます。ただ出産をしに病院に行っただけなのに、医療ミスで植物状態となってしまった被害者の姿を見て、忘れていた人としての正義感が湧いたからではないかと。そしてその心情を支えたのは、お金、地位、名誉という物ではなく、弁護士としてのプライド、真実を追求するという信念ではないでしょうか。この行為にギャルヴィンは、自分の存在価値を見つけ出し、被害者を救済するという、弁護士としての矜持や信念にあらためて気づいたのだと思います。たとえどんなに激しい反発があっても、ぼろぼろになってでも、やり遂げると言う覚悟です。

この映画の核心となった部分のように、自分自身も映像制作は、真実を語る作品を配信するという信念を、強く持って臨みたいと思っています。

最近では在特会の桜井会長のドキュメンタリーなどを制作していることを指して、あるジャーナリストには、「在特会お抱え監督」「在特会べったり」などとネットで書かれていますが、それは違うということをはっきり申し上げておきます。
在特会や桜井会長を作品で取り上げたのは、在特会の存在理由などについて、自分がしっかりと理解し納得できるからこそだけのことです。そして、会長や他のメンバーをみても嘘がなくプライドをもって活動してることが理解できるからです。
本当に何度も言いますが、「韓国」「北朝鮮」「民団」「総連」……このような存在をいくら中立になって考えても、「思い」「信念」「真実」を表現できる作品を作ることは自分はできません。ましてや嘘をついてまでそれをやる気はないし、そのような信念は持ち合わせていません。

皆さんに主張させていただきます。

自分がドキュメンタリーを制作する際には 「思い」「信念」「真実」を伝えるというのをコンセプトにしています。そしてそこには一切の嘘がないと言う事もご理解いただけれと思います。
これらの要素がすべてそろえば、どんなことをテーマにしても、どんな人を対象としても、制作の途上でぼろぼろなっても、自分は作品を最後まで制作しなければならないと考えています。特定の人、特定の政治の利益などのために、自分の信念を曲げて作品制作することは絶対にあり得ません!!

朴信浩