頭を目覚めさせる!


 レッスン前のウォームアップや本番前のアップレッスンとは、何を目的としているのか知っていますか? 目的も分からずにダラダラと動いていても意味はありません。 確りとした目的意識を持って居なければただ動いたと云うだけの事で終わってしまいます。


 ウォームアップの目的は頭と身体を目覚めさせる事にあります。


 ストレッチする時もバーレッスンの時も各関節や筋肉がどの様に働いているかを感じ取り正しい方法通りに使えているかを確認しながら行わなければならないのですが、その為には確りと脳が覚醒している事が必要です。 頭が確りと覚醒してフル稼働出来る状態になっていなければ基礎通りに身体をコントロールする事など到底無理な話だからです。


 バレエの基礎を本当に身に付けている人は、この頭を覚醒させる事が上手なのです。 逆に確りと覚醒せずにレッスンする人はいつまで経っても細かい身体のコントロールが出来る様にならずに停滞し続けます。 つまり雑なレッスンになるのです。





アップレッスンこそ頭を使って!


 筋肉を温めるには身体を早く動かす事が必要と勘違いしている人がプロや指導者にも本当に多いのですが、バレエではゆっくりと筋肉を引き伸ばしながら正確に動かす方が早く全身が温まり、また冷え難くなります。

 これはインナーマッスル等の身体の内部の筋肉にも働き掛けているからで体内の血行も良くなり全身の血流が上がるからなのです。


 しかしこれらが正しく行えるのは脳が全身をコントロールしているからで脳が目覚め切って居ない場合は身体がこの様に温まる事はありません。


 『本番前に頭を疲れさせる様なレッスンはしたくない!』と云う様な事を言うダンサーが居るのですが、私からすると『では何をしにここに来たの?』と聞き返したくなります。

 今頭を目覚めさせないで本番でどの様な踊りが出来るというのでしょうか? 本番こそ凄まじい集中力を発揮しなければならないのにダラダラとアップレッスンすれば、本番は上手く踊れない事は確定です。


 私ならだらけてレッスンしているダンサーが居れば少し難しいアンシェヌマンを与えて頭を使わせますが、それは目覚めさせる為なのです。

 『本番が上手く行かなかった!』と云う人は、アップレッスンでの頭脳の覚醒が出来ていなかったのでは無いでしょうか?


 ただ動くだけのダラダラしたレッスンにならない様に普段から頭脳の覚醒を意識してみては如何でしょうか?