基礎とメソードは別物!


 『ロジック』(論理、法則、系統だった筋道)

 立つ、歩く、跳ぶ、回る、静止する、踊りでもスポーツでも何をするにしてもロジックがありますが、何故ロジックが必要なのでしょうか?





 それは毎回同じ動きを確実に再現させる為です。





 例えば“ピルエット”を一回転、二回転、三回転、四回転と自ら回転数と回転速度をコントロール出来るのはロジックに則って身体を動かした結果なのです。


 バレエのロジックに則って身体を動かす為の方法が“アンドゥオール”や“引き上げ”、関節の“プリエ”等であり、バレエの基礎とは身体を効率的に動かす為のロジックに従って作られたと言っても過言では無いでしょう。

 ですから基礎とは運動音痴の人でも、それに従えばバレエが踊れる様になる道具なのです。


 よく混同されますが基礎とメソードは意味が異なっていて、基礎とは全てのメソードに共通なモノで、メソードとは踊りの表現の仕方なのです。 つまり振付の土台にはメソードがあり、そのメソードの土台が基礎なのです。 また異なるメソードで踊ろうとしても、それは元の振付とは違う物になってしまいます。 だからヴァリアシオンはメソードをごちゃ混ぜにせずに正しく学び身に付ける必要があると言われるのです。


 しかしメソードの土台である基礎が確りと身に付いて居れば異なるメソードでも少しメソードを学べは対応が出来るのですが、最近はメソードと基礎の違いを認識せずに学んだダンサー、指導者が多く基礎レベルが低いまま活動している為にヴァリアシオン指導等で目茶苦茶なアレンジが起こる事が多くなっています。





骨盤の移動は難しい!


 身体を動かす際はロジカルな考え方をしなければ、直ぐに体幹は崩れてしまいます。


 例えば第5ポジションから前に“バットマンタンデュ”して第4ポジションに移行する時の事を考えてみましょう。


 第5ポジションから第4ポジションへの移行で問題となるのは骨盤の崩れです。 骨盤が崩れとは、骨盤の前後傾と骨盤の左右が対称位置から外れる事の二点です。

 骨盤の崩れが起きない様に動くには以下の通りの意識で行います。




 『先ず前後にバットマンタンデュ”をする時点で出す脚に引き摺られて骨盤の崩れは起こります。 骨盤が脚に引っ張られない様に、脚を動かす時は踵と小転子が引っ張り合って居て、骨盤とは切り離して考えなければなりません。

 次に骨盤の移動では軸脚側の小転子が動脚側の踵と一緒に移動する事で骨盤の左右位置が対称のままで骨盤を移動させる事が出来ます。

 最後に骨盤は常に垂直を保たねばなりませんが、この時に腸腰筋群等の柔軟性の不足から骨盤が後ろ脚に引っ張られて前傾が起きやすいので坐骨を前に押し出す様なコントロールで腸腰筋群を引き伸ばして垂直を保つ必要があります。

 更に両脚は確りと張って膝関節等に緩みが出ない様にアンドゥオールを意識し、全身も引き伸ばし(引き上げ)ながら行わなければなりません。』




 骨盤を移動させる(ポジションチェンジ)とはこれだけの動作を意識しながら行うのです。 この全ての動きを完璧に、それも一瞬の内に行うのは至難の業ですよね? 実際に私でも物凄く慎重に骨盤の移動を行っていますし時間を掛けています。 ストレッチ等のウォームアップ無しにこれを行う事も私には不可能です。

 全身を引っ張り続けているので力も必要ですし意識を集中して疲れます。


 さて、これだけの動作をしていながら、その後に脚を踏み変える事が可能でしょうか? と云うか必要ですか? それが美しいのでしょうか?


 本当に基礎通りのロジカルな動きをしたら踏み変えは絶対に不可能なのです。



 最近ブログで話題に上がった“踏み変え問題”ですが、良い悪い、正しい誤っていると云う問題ではなく実際問題として踏み変えを行う事は

  不可能なのです。



 つまり両脚の踏み変えを教えている指導者はバレエの基礎を理解しておらず、指導としてはまだまだ半人前と言えます。

 ここまで言い切ると反発を受けそうですが、そう云う方は踏み変えを行わなければならないロジックを説明すれば良いのです。 因みに『バーからの距離が・・・』と云うのは合理的な理由にはなりません。

 それはバーレッスンとは自分の脚で自立して行う物でバーに頼らなければ立てない様なレッスンではバーレッスンとは呼べないからです。 またセンターでやらない様な事はバーレッスンでもやっては駄目なのです。



 踏み変えについて合理的なロジックがある方はコメント下さい。 皆さんと検証しますので(^_-)-☆







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