全体像を把握する事が大事!


 私が生徒に与える注意と正反対の注意をする指導者はとても多いです。

 私と正反対の注意をすると云う事は私とは異なる論理の下に問題点を導き出して注意をしているのでしょう。

 しかし本来は同じ動きを教えているのですから、与える注意もほぼ同じになる筈ですが、なぜ正反対になってしまうのでしょうか?






それは動きの全体像を見ていないからです!




 たとえば回転系なら回転直前からしか見ておらず、最初の第5ポジションからの一連の動きを全て見ていない、跳躍系ならつま先は見ていても上体や腕のポジションは見ていない、移動系なら片脚しか見て居らず反対脚が伸びて居なくとも気付かない、“バットマン”で脚を伸ばし切る所は見ていても、それを第5ポジションに戻す所は見ていない、、動脚は見ていても軸脚は見ていない、つま先や甲が伸びているかは気にしても脚全体の筋肉が引き伸ばされて居るかは見えていない等です。

 部分的な事は素人でも見えるし、そこが問題の現象である事は理解出来るのですが動きの全体像を把握して居なければ、どこに気を付けたら、その現象が解決するのかは理解出来ません。


 例えば、後ろに“バットマン”をする時に肩も後ろに動かしてしまう生徒が多いのですが、『肩が後ろに動いた』と云う現象に対して『肩を前に出して!』と云う注意は間違いなのです。 これは肩や腕しか見えていない為に『何故、肩が動いたのか?』と云う現象が起こった理由が理解出来ていないのです。

 肩や骨盤が動いてしまう理由は唯一つ、横への張りの意識が足りないからです。 肩と腕の横方向への張り、骨盤を横方向へ張る意識があれば、脚を何処へ動かそうとも肩も骨盤も揺らぐ事はありません。

 しかし起こった現象の逆方向の動きをすると横方向への張りの意識は足りないままなので、今度は逆方向への崩れになってしまうのです。

 動きの全体像を見て何が起きたかを把握して居れば、どの様な対処をするのが正解なのかが自ずと解る筈なのです。

 身体が引き伸ばされて居ないのに『バランスを探して!』等と注意するのもバランスが取れる条件を無視した注意で全くのナンセンス(無意味)なのです。





解剖学は補足の立場!


 踊りは先ず俯瞰して全体像を把握し、その全体像に沿って必用な部分を直す事が最初にあり、その後に補足として細かい部分の直しが入ります。
 逆に細かい部分から直しを入れて行くと最終的にあちこちで矛盾が生じて全体がまとまらなくなり、目的の全体像が出来上がらなくなるのです。

 解剖学等は、そう云う細かい部分を分析する学問なので、それをメインにして教えると上記の様に矛盾が生じてしまうので良くありません。
 あくまでも全体像を補足する存在として利用しなければ、解剖学を学んだ事で間違った教え方、踊り方をしてしまいます。
 最近は解剖学が間違った使い方をされる事が度々見受けられるので、本当に危惧しています。


 正しく踊り、指導する為にも全体を隅々まで全て見通せる様に集中力を高めて毎回のレッスンに臨みましょう。







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