景気循環

好況不況という二つの局面で捉える場合と回復、好況、後退、不況の四つの局面で捉える場合がありますが、後者の方が分かりやすいかと思います。

代表的な波を考えて見ます。

1:キチンの波…短期の循環で現在ではこの循環が重要視される。

本来は設備投資と在庫調整が大きく循環に影響したが、グローバル化やIT革命によって在庫調整の短期化が進み大きな波は抑制されつつあるとされている。
但し、大きなサイクルでの指標としては参考になりにくい。

2:ジュグラーの波…設備投資循環による中期での指標にはなるが19世紀の考えなので現状にはそぐわない。

3:クズネッツの波…20年スパンの中期サイクル。

20年という周期は、住宅や商工業施設の建て替えまでの期間に相当することから、大型の建設需要に起因するサイクルと考えられている。また、世代が交代する時期で人口の変化に起因するとする説もあり、統計学的にもその循環は証明されていて重要な指標になる。

4:コンドラチェフの波…有名な長期サイクルで技術革新や技術革命によって齎されるとされるが、実際に革命が起こらないと循環に誤差が生じる。

以上が景気循環の代表的な指標になりますが詳細はウィキで確認して下さい。
                  
                            参照:景気循環
 


詰まり、設備投資や在庫調整、技術革新などが要因になって結果としては景気は循環します。
ただ、必然的にそうなるかどうかは結果論で資本主義経済が崩壊すれば未来永劫ではないかも知れません。

また、景気サイクルには金融政策が必ず伴います。
詰まり、好況でインフレが進めば金利を上げたり金融引き締めを行います。
そうすれば景気は停滞(後退)してタイムラグを於いて不況になります。
不況になれば、金融緩和や低金利政策でマネーサプライを増加させてデフレギャップを埋めようとします。
やがて、金融緩和によって企業の設備投資が増えて再度景気は上向き再びインフレになり、それを抑えるために金利を上げる。

と言ったように教科書通りに行けばいいのですが、現状の世界経済は明らかに不況に突入しました。
特に日本に於いては、バブル崩壊後20年の間、超低金利政策を続けていますが名目GDPは上がるどころか、ここ数年は横ばいからマイナス成長です。詰まり、不況から長期間脱せずにデフレは加速して景気循環の中期サイクルを超えてしまいました。

また、リーマンショック後は欧米も金融緩和の効果は得られず、財政に歪が出るばかりで実体経済は日本の後を追うようにデフレに喘いでいます。

以上、経験則では景気循環は必然的のように見えますが、先進国が経済成長のピークを超えていたとすれば絶対的な循環とは言い切れない時代になってきたのかもしれませんね。