今日の内容は昨日ニュースを賑わせた
IJ投資顧問
…目茶目茶怪しいファンドですな。
CDS乱発の悪名高い米国大手保険会社AIGを髣髴させられますね。

企業年金…これは大企業が取り入れている401Kとは似ていて非なるものです。
僕も401K加入していましたが、中途退職で個人年金に移行していますが、所謂フィディリティやピムコなどの投資信託に分散しています。
然し、年間保管コストが2%近いので中々増えませんな…然もリーマンショックを挟んでいるので積み立て金額が20%しか増えていません。
多いときは60%位含み益があったのですが、それでも上手くいっているほうですな。

さて、年金基金はは中小企業の厚生年金負担の規定に満たない部分をカバーする為に実施された経緯がありますが、経理処理の解説は簿記が分らないと難しいので割愛します。

AIJは一般の投資信託とは違い受託や寄託等の仕組みが無くて一般的に言う一任勘定ですが、法律ギリギリのグレーゾーンな訳です。一般的に詐欺集団とは異なり一応投資運用はしていたのでしょう。
但し、預かった資産の一部を不正に役員や従業員が流用していたのは間違いないと思います。
ただ、それだけでは2000億の殆どを消失するのは有り得ません。

まだ、詳細は不明ですが株式オプション取引や通貨オプションのPUTの売り手になっていた可能性が大きいと個人的には推察します。

オプション取引というのは行使権権利をさします。
これでは分りにくいので分りやすくいうと損害(生命)保険会社の保険料のようなもので、例えば保険会社は保険料を貰いそれが収益の一部になりますが、昨年の大震災では各保険会社は莫大な保険金支払が発生しました。詰まり、想定外の事象が起これば支払いが法定積立金を取り崩さないとだけですし、小さな保険会社なら支払い不能になります…今回のケースは根本的に保険会社の構造とは違いますがオプションの例えとして保険料を使った訳です。

もう少し、突っ込んで解説しますね。

例えば、機関投資家や金融機関は多くの株式を保有したり、持合で相互に保有しています。
無論、バランスシートでいう資産になり、保有株式価格が一定の水準以下になると損失を回避するためにヘッジを掛けます。空売りを入れてもいいのですが、空売りでは上昇した時に利益が相殺されるので損失は避けられるが含み益も増加しないので妙味が薄いわけです。その代替にオプション取引というのがあるのですが、一般企業の財務担当クラスでは仕組み自体も分らない難しい手法です。

例えば、ソニー(6758)を例に取りましょう。

ある企業がソニー株を3000円で1万株購入して3000万の簿価で資産計上したとします。
そして10%以上下落したら企業財務に支障が出ると判断した場合に2700円以下になったらそれ以上下がった部分をオプションの売り手から徴収できるというリスクヘッジ手法がPUTオプションな訳です。

その場合にオプションの買い手である企業には当然権利行使権であるオプション料が発生します。
その保険料を売り手に支払うわけですが、その売り手がここでいうAIJですね。

例えばout of the money (otm)なのでオプション料金は安く一株30円だったとしましょう。
1万株なので30万円のオプション料をAIJに支払います。
仮に3000円だった株が相場が上昇して3500円に上がれば企業は500万利益が出てオプションは行使しません。
30万のコストは掛かったが、500万の含み利益が出るので470万の資産増加になり、売り手のAIJはオプション料金が収益になりwin-winが成立して目出度し、目出度しですよね。この場合には問題なしです。

ところが、相場の下落局面…例えばリーマンショックの時を考えて見ましょう。
3000円であったソニー株が1500円に下落したら、企業は保有株で1500万の損失…当然時価の金融資産は半値になります。ところが2700円でPUTを購入していたので2700円-1500円=1200円の利益が出てオプション料を差し引いても1170円の利益が出ます・・・(1500円-1170=370円)×1万株だから370万の損失で済みますね。

一方、AIJ側は権利を行使されて1200万の損失です。収益は30万で損失は1200万ですから40倍の損失。

これが、この様な裁定を上場企業の100社に対して100のポジションを売っていたら1200億円の損失です。
詰まり、2000億の損失の殆どはリーマンショックで発生したと考えられます。
本当に金融庁がそれに気が付かなかったというのは信じられないですね…大体は把握していても実際に投機で損失を出したのなら金融商法で摘発できるのですが、そのような投資顧問は数多くあるので、面倒臭かったのか怠慢です…過失に近いですね。

此処で問題なのは、不正な流用で社長や役員が預かった資金を使っていない場合には刑事事件には問えず、民事で争う事になりますが、原則的に投資、または投機で損失を出していたなら損失分に関しては預けた企業への返還義務は生じないので、2000億の99%は返ってこないのは確実でしょうね。

まぁ~、金融業会というのは損得だけの実体のないマネーゲームがビジネスモデルですから、大手の野○や大○も似たり寄ったりで、堅気の方は関わらないのが得策です。日本人は金融機関を信用しすぎです…合法的とは言っても銀行や証券会社、保険会社は詐欺集団に極めて近く碌なもんじゃないですよ。

もっと、損失が大きくなる通貨オプションも取り入れていたのは、確実でしょうがこれに関しては、一般の方にはとても理解できないと思いますので割愛します。但し、早稲田や駒澤大学や上場している某大企業の財務部はゴールドマンサックスに唆されてオプションの売り手になって個々に数百億の損失を出しているという超ハイリスク投機になります。

但し、厚生年金や国民年金に大きな穴を開けている厚労省や他の省庁、もっと言えば国家の功罪はこの非じゃないと思いますがね。数百兆単位で穴を開けているのだから官僚や大臣は監獄に入ってもおかしくないでしょう。