映画感想・舞台挨拶「中洲のこども」/中洲大洋映画劇場 2023.7.23 | PERFECT PERSONAL WORLD

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西に東に、はてしない追っかけ日記

本日は中洲大洋映画劇場まで辻仁成監督の最新作「中洲のこども」の舞台挨拶を観に。





中洲で生きる出生届を出していない無戸籍児・蓮司とそれぞれの立場から見守る中洲の人々の交流を山笠の季節を軸に見せる映画。監督の辻仁成さん、「真夜中の子供」という原作小説を書かれているようで読みたいですね。

冒頭で蓮司が「なかすこく」と名づける中洲。中洲を「島」と言う人がいて新鮮。有栖川有栖先生の名作「鍵の掛かった男」でも大阪・中之島を「島」と捉えてそのホテルで死んだ「島民」の人生を追うミステリがありましたが、住んでた街の新しい面を創作物から教わる事があります。

主人公の蓮司役は福岡の子役、古賀迅人君、古賀蒼大君の兄弟が。映画は2019年にクランクインしたそうですが、コロナ禍で撮影が中止になり迅人君の成長で画が繋がらなくなって弟の蒼大君が引き継いだそうです。

Yahoo!ニュース
コロナで撮影3年中断、兄弟リレーで少年の成長描く…辻仁成さんが監督した映画「中洲のこども」
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae8e324463e639a2a361fae0f274cedb22ca7f1c

舞台挨拶でも迅人君が蒼大君の面倒も見ていて、しっかりした子だなあと感心。





映画自体は「無戸籍児」をテーマにしていて、学校に行けず葛藤したり、雑居ビルに勝手に住み込んだ両親の為に水を汲んでくる蓮司の姿が痛々しかったのですが、それぞれの立場で蓮司を支える中洲の人々との交流は心温まるもので、心の中に「残る」映画でした。
ホームレス役で佐藤浩市さんとか、「山笠に乗りたい」という夢を叶えてあげる中洲流の重鎮に世良公則さんと、福岡の俳優さん達に加えて実力派の方々が画面を締めていました。
もう一人の主人公と言って良い、蓮司を気遣う中洲交番の警官・響役は村井良大さん!舞台挨拶の俳優さん方も「ハマり役」と口を揃えてらっしゃいましたが、本当にそう思いましたし、ちょっとだけディケイドの小野寺ユウスケ役と重なりました。

蓮司の母、加藤あかね役は福岡のTVや舞台で活躍されている山本由貴さん。由貴さんのファンなので舞台挨拶に行ったのですが笑、「別れた男から逃げるホステス」役というこれまでに無い役でとても良かったです。
舞台挨拶で「ホステス役は初めてですか?」と質問され、随分と長い間悩まれてました笑が、それは「ホステスという役に重点を置いていない。辻監督から『子供の愛し方が分からない』役」と指導されたそうで、その言葉に蓮司の存在が腑に落ちた気がしました。











あと、やはりよく知ってる中洲ですので、その撮り方が綺麗でしたね。佐藤浩市さんのホームレスが那珂川で鰻を釣って蓮司に食べさせる場面がありますが、那珂川で鰻は話盛りすぎでしょう笑と。仮に獲れてもちょっと食べるのに抵抗ありますね笑
あと親戚がやってる屋台が2回くらい映ってびっくりしました笑

色々と心に刺さったのは、私の両親も中洲で働いていた時期(全然不幸な過去はないですが)があって身近に感じずにはいられないからだと思います。
蓮司のその後が、幸せであってほしいと願ってやまない映画です。