近年、観光列車はローカル線の切り札となっている感があります。その代表的な存在なのが水戸岡デザインことドーンデザイン研究所の手がける観光列車たちです。
そんなミトーカデザインの観光列車の中で、どうもイマイチ地味なのが井原鉄道のこの車両。IRT355形なのは変わりませんが、200番台で区分されています。
車両の名前は「夢やすらぎ」号です。この車両がイマイチ地味な理由は、「他の普通列車に交じって走っており運用が固定されていない」「車内サービスが無い」・・これに限ります。HPで運用が公表されているものの前面に押し出している訳でも無いですし、何よりもこの車両のきまぐれ運用に日程・ルート・時刻等の各旅程を合わせないといけないというのが、ある意味乗車へのハードルを高めていると言えます。
この車両も、100番台同様宝くじ号なんですね。
車内です。内装的に、これの影が見え隠れ。木を多用したデザインはドーンデザインの共通項です。
ドアです。ドアレールこそ残されていますが、化粧板貼り付けというスタイルになっています。握り棒も木目調で、金属のそれよりもひんやり感が軽減されている点はポイント高めです。
開閉ボタンもこの通り。内側のボタンはキャラメル色になっています。
運転台方向です。半室構造は変わりませんが、ホワイトの化粧板が眩しいです。そして、仕切りが付いたため見通しが利かなくなりましたね。
こちらが運転台です。各レバーは縦軸式、外観はJR西日本キハ120にソックリさんですが、運転台はそれよりも近代化されている印象です。
運転席についてもオリジナルモケットになっています。
天井です。蛍光灯からダウンライトになり、吊革はやはり木製になっています。丸形ではあるものの、内側に凹みを付けているため回せません。
トンネル走行になると、こんな感じ。暖色系の温かみのある光が広がります。この辺りのライトワークはデザイナーの仕事らしさが光るところなんですよね、これくらいにしておけばいいのですが(毒)
窓です。固定窓は相変わらず、日除けは生地が簾調になっています。今のところ、メンテはしっかり追い付いている模様です。
座席です。ボックスシートなのは0番台と変わりませんが、座席そのものはこれと全く同じものを使用しております。ただ、どこぞの特急料金・指定席料金をかすめ取る列車とは異なり、実態として普通列車が関の山ということをしっかり理解している(?)井原鉄道では、料金不要で利用出来ます。
固定テーブルが半分程度の大きさになっている以外は、全くそっくりそのまんまです。モケットが違うくらいでしょうか。窓側にも肘掛けがあるという点では0番台よりもくつろぎの観点では良いですが、その長さはさすがに中途半端としか言いようがありません。またヘッドレスト部分が木の格子となっているのはあまり良いとは思えません。和食屋さんのお席なら分かるんですけど、動環境ですからねぇ‥。
フリースペースです。非常通話装置・握り棒に加えて細長い固定テーブルが備えられており、車椅子移動者の快適性にも配慮しています。また、介助者用を想定したと思われるクロスシートもあります。そうそう、地味にヒーターも格子で隠されてるんですよね。仕事は細かいっちゃ細かい。
ロングシートです。こちらも例に漏れずハードな形状となっており、進んで選ぶようなところでは無いですね。出入口付近には衝立があり、ボックスシート裏共々四隅に固定テーブルが設置されています。
トイレとボックスシートの間には優先座席がありますが‥。1.5人掛けですね、2人で座ると多分結構狭いです。
トイレです。バリアフリー対応で、ドア幅は広めです。広告枠には、イメージパースが入れられております。
運転台の横は客室として開放されており、固定テーブルや掴まるためのつまみが付いています。運転士さんの邪魔にならない程度でなら、ここで前面展望を楽しめます。あと、ゴミ箱も置かれております。
反対側はこんな感じ。衝立が大きくなっており、消火器が備えられています。この辺りの自然さはデザイナーの業ですね。