長い年月を経て
今、まさに。
***
行き場のない自信のなさに悩みながらも
一つのきっかけから大きく羽ばたいた
その若いエネルギーは
熟成された精神とともに
輝きだけを残してていくのだ
〜マダム・スイ〜
マダム・スイ宛てに
小包が届いたのは
春が始まったばかりの
肌寒い午後でした。
手紙など届くはずもない
秘密の写真館に
一体誰が何のために。。。
トレードマークの紺色のローブをまとった
マダム・スイは
郵便配達員から小包を受け取ると
訝しみながら差出人の名前を見ました。
***
サラからでした。
懐かしい名前を見るや
あら!まあ!と何度も呟きました。
心なしか足取りも軽く
写真館の裏手にある
緑あふれるガーデンまで移動すると
華奢な椅子に腰掛け
そこで改めて
手紙を読みはじめました。
***
マダム・スイさま
ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか。
ジャカランダの木の下でこの手紙をしたためています。
あの日から、あなたのことを忘れたことが1日もありません、、、
鉄格子の扉を開いて、あなたに出会わなければ
今の私は存在しなかったでしょう。
「あなたの夢はなに?」と聞かれて、ハッとした
あの瞬間がすべての始まりです。
マダム・スイ、あなたは私のかけがえのない存在であり、恩人です。
舞台に立つようになってもうすぐ20年経とうとしています。
お送りしたゆびわは20周年を記念して
つくらせたものです。
マダム・スイのおそばにおいて頂けたら、、、
感謝をこめて。
サラ・ウグイス・ジャガランダ
***
マダム・スイは
キラリと輝くゆびわを手に取り
「わたしにはちょっと大きいわね。
まあ、彼女にとってわたしの存在は
ちょっとばかり大き過ぎたってことかしら?」
マダム・スイは軽口を叩きながらも
顔をほころばせ
そっと右手の薬指にゆびわをはめてみるのでした。
おわり
<サラの夢>
読者の皆さんは
もう耳にタコができるくらい
というか読むのも億劫になるくらいに
しつこく書きまくった「サラの夢」というストーリーを
覚えていらっしゃいますか?
その「サラの夢」をフォトブックにして欲しいと
依頼してくださった発起人のuguisuさんから
フォトブックを作ってくれたお礼も兼ねて、、、と
「それからのサラ」をイメージして
手紙を送ってくださいました。
***
洒落た雰囲気の小包を
マダム・スイ同様
ニヤニヤしながら開けたのが
今年の春先のことです。
***
「それからのサラ」は凛とした
輝きに満ち溢れた大スターに成長していました。
これ以上のサプライズはありません。
作家冥利に尽きる
そんな感じでしょうか^^
uguisuさんの感性の豊かさと優しい心遣いは
文面と贈られた品々に現れています
実は包みとして使われた箱には
ちょっとした細工が施されていました。
写真館の壁をイメージした
立て看板のような代物です。
それについては
また別のお話でご紹介しようかなと思っていますので
楽しみにお待ちくださいね♪
スイ
追伸
uguisuさん素敵な贈り物
本当にありがとうございました✨