どうして梅雨になるの? | 木下英範のブログ

どうして梅雨になるの?


木下英範のブログ-梅雨


今日は関東地方の梅雨入りが発表されました。ところで梅雨はどうして起こるのでしょうか?梅雨は梅雨前線の停滞によって引き起こされます。


では梅雨前線はどうして発生するのでしょうか?前線とは気団(同じ性質の空気が集まって高気圧をなしているもの)と気団の境界です。冷たい気団(寒気団)と暖かい気団(暖気団)がぶつかるところは大気が不安定になり雨が降りやすくなります。気団は高気圧なので常にそこからは空気が流れ出しています。


冷たい空気に比べて暖かい空気は軽いので、両者がぶつかると、暖かい空気は冷たい空気に乗り上げる形で押し上げられます。すると暖かい空気は冷やされて、含まれていた水蒸気が飽和状態になり、雲ができるのです。


日本列島の周りには様々な気団が存在しますが、梅雨前線を引き起こす気団は「オホーツク海気団」と「小笠原気団」です。寒気団であるオホーツク気団は北海道の北、オホーツク海上空に位置しています。一方、暖気団である小笠原気団は列島の南東、小笠原諸島上空にあります。冬の間、太平洋上に停滞していた小笠原気団は、春の訪れとともに北上してきます。小笠原気団、オホーツク海気団とも海から蒸発した水分をたっぷり含んでいるので、前線では大量の雨を降らせることになります。


気温が上がってくると小笠原高気圧の勢力も強まり、海からはどんどん水分が蒸発しますので、強い雨が降るようになります。ですから梅雨は終盤が一番激しいのですね。


やがて小笠原気団の勢力が十分に強くなると、梅雨前線は日本海側に押しやられるか消えるかして、梅雨明けとなります。梅雨が明けると、夏の間は小笠原気団に支配されます。ですから日本の夏は湿っていて蒸し暑いのですね。小笠原気団の勢力が強いと猛暑になります。


反対に秋になると今度は太平洋高気圧の勢力が衰え始め、同時に前線も戻ってきます。これが秋雨前線で、9月中旬から下旬にかけての長雨をもたらします。


梅雨の時期は、人間にとってはじめじめしてうっとうしいのですが、春の雨は青葉を育て、秋の雨は実りをもたらします。日本の自然環境にはなくてはならない雨。ありがたい存在でもあるのです。


ところで余談ですが、傘を忘れたとき雨の中を走ったほうが濡れなくてすむのでしょうか。それとも歩いたほうが濡れなくてすむのでしょうか。歩くと目的地に着くまでに時間がかかるし、走ると面積の広い体の前面に雨を浴びることになるので、どちらがよいか少し悩むかもしれません。


この問題を研究したアメリカの博士によると、正解は「走ったほうが10%濡れなくて済む」でした。私も大学生の頃、霧の研究をしていたので計算してみたのですが、たいだい同じ結果になりました。たしかに走ったほうが濡れないのですが、よく考えてみると一生懸命に走ってもたった10%しか違わないのです。私はこの結果を知ってから雨の中を走るのをやめました。


ただ、大学でこの研究結果を報告したときは、教授に「へぇ~、テーマとぜんぜん関係ないじゃん」と言われただけでした。この結果をうけてから勉強に走るのをやめました。



※このコラムは2005/06/10に他ブログで執筆したものです。