話題の“プレイリスト・ムービー”、映像も音楽の使われ方も美しい映画でした。登場人物の中ではエミリーが特に可愛くて健気で、観ていて力を貰えた気がしました。

 

 

Image via @WAVES_jp on Twitter

 

 

以下、ちょっとネタバレを含むかもしれないのでご注意ください。

 

 

 

 

《承前》ただ、自分の感受性の乏しさゆえか、全体的な感想としては"not for me"といった感じでした。

 

ストーリーラインが陳腐に感じられたのは、逆にいえば普遍性のある物語だともいえるので、それほどネガティブに捉えていません。ただ、それよりも僕には〈若さ〉への迎合具合が、なんだかうるさく映ってしまいました。象徴的だったのが、主人公のタイラーが両親に激昂するシーン。父親のいる黒人家庭における家父長制的なものへのアンチテーゼといえば聞こえはいいのですが、残念ながらタイラーに100%感情移入できるほど若くないのと、あとはウィリアムズ家があのような問題を抱えることになった背景をもう少し丁寧に描いてほしかったという個人的な思いがあります。物語の一番の転換点となった出来事については、なおさらタイラーに感情移入するのが難しかったです(そこまでの描かれ方が違っていたら、違う感情を抱いたかもしれません)。

 

あとは、諸々の表現における微妙であること(subtleness)へのこだわり方が、自分のようなお洒落じゃない人間には少し小賢しく感じられました(笑)。

 

 

上のいずれについても、自分が10代の頃に観ていたら違った印象を受けたかもしれません。また、冒頭に述べたように映像や音楽の使われ方が美しい映画であることは間違いないですし、傷からの再生を描いた、いつの時代も人に力を与えうる作品であることも間違いないと思います。ぜひいろんな方の感想を聞いてみたいので、劇場で観てみてください!