この本の存在自体は高校生の頃から知っていましたが、その間に著者のロバート・キヨサキ氏が破産したり、マルチ商法をやっている人々のバイブルとして悪評が立ったりで、食指が動かずにいました。しかし、ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)の推薦図書リストにこの一冊を見つけ、手に取ってみることにしました。

 
 
 
 
実際に読んでみて、この本に書かれていること自体はごく常識的で、示唆に富んだ内容だと感じました。自分の感情に正直になれ、資産と負債の違いをはっきりさせて後者よりも前者を手に入れよ、選択肢をたくさん持て…などなど。実際、ニプシーが若い頃からジュエリーより不動産に興味を示していたのも、そういうことなんだと思います。教育に投資することの重要性なども、今となっては当たり前の内容ですが、腹落ちしやすいように書かれています。また、後半の「実践の書」が意外にもインスピレーショナルで、特に「忙しいことを理由に怠ける」の節は、先日紹介した『The Way of the Superior Man』にも通じる内容だと思いました。少し毛色が違う話かもしれませんが、「ヒーローを持つ——神話の力」の節は、ニプシーの読んだ本を一通り読破しようと考えている自分が今まさに実践していることだなと思い、頷きながら読みました。
 
そして、上記のいずれよりも共感を覚えたのが「『教えよ、さらば与えられん』——与えることの力」の節です。少し説教くさく偉そうな書き方になってしまうかもしれませんが、たまに僕の記事を読んだり動画を観たりした方から「なんであんな記事が書けるんですか? 知識が凄い!」などとお褒めの言葉を頂くことがあります。でも、僕自身は自分の知識や能力が、お褒めに与るほどのものでないことを、誰よりも分かっています。むしろ、日頃ソーシャル・メディアで人々が共有する音楽やそれにまつわる知識などを目にし、「へぇ〜凄い!」「これは知らなかった…」などと思うことが多々あります。一つ違いがあるとすれば、今こうして記事を書いているように、僕はインプットしたものの多くをアウトプットしているという点なのではないかと思います。もちろん聴いた音楽や観た映画や読んだ本すべてに逐一言及しているわけではないですが、僕がインプットしたものに占めるアウトプットしたものの割合は、一般的な人のそれに比してかなり大きいはずです。そして、そうすることで得てきたものもたくさんあるように思います。「だからみんな俺を見習うといいよ」などとアドバイスをするつもりはなく、これは自分の持つ一つの強みだなと思ったので、未来の自分が人生に行き詰まって読み返したときのために、あえて言葉にしてみた次第です。
 
 
 
 

告知

TURNさんの企画=BEST TRACKS OF THE MONTHに、引き続き参加しております。昨年11月分は告知を忘れており、すみません。
 

 

 

特に年間のほうは、それぞれのライターさんが置かれた状況と音楽のつながりが見えて、楽しく拝読しました。「○○以外のジャンルは聴かない」という方にも読んでみることをお奨めします!

 

 

そして、HIP HOP DNAさんでは全10回のスラング特集(連載)が終わりました!

 

 

 

 

 

 

 

今までに紹介・解説してきたスラングの中で、お気に入りのものは見つかりましたでしょうか? こちらもぜひお読みいただければと思います。