梅雨の季節と東洋医学
梅雨は、しとしとと雨が降り続きます。雨は花や緑、農作物に潤いをもたらし、夏の大切な水源ともなる自然の恵みですが、湿気の多いこの時期は体調管理にも注意が必要です。
じめじめとした梅雨の時期は、なんとなく身体の重さやだるさを感じたり、食欲がなくなったりと、天気と同じように体調もすっきりしないことが多いもの。東洋医学では、このような湿気の多い時期の体調不良を「湿邪」考えます。
湿邪の特徴は、重くて粘り気があり、停滞しやすいこと。身体のだるさや鈍い痛み、水分の停滞によるむくみ、胃の不調といった症状が現れますが、その症状は治りにくく、ずるずると長引くこともあるため注意が必要です。 また、湿邪は湿気の多い季節によく発生するので、この時期は特に気を付けたいものです。
湿邪にはお灸が効く
どうせ長生きするなら健康がいい
”ピンピンコロリと逝きたい”という言葉をよく耳にしますが、コロリと逝くためには、ピンピンがないと”ピンピンコロリ”は成立しないのではないかと思っています。
今現在の時点で私が考えている“ピンピンコロリ”の秘訣は、「あし・こし・あたま」にあると考えています。脚・腰を鍛えて、認知症を予防する生活を心掛けることで、健康寿命を延ばし”ピンピンコロリ”で人生を全うするというものです。
私の母親は、80歳ですが、骨年齢が40歳代後半という強骨の持ち主です。もちろん、聴力・視力も問題なくピンピンしています。どうしてそんなに元気なのか?いつも不思議に思っていました。
母の今現在の日常生活にヒントがあるのではないかと思うので、健康の秘訣を覗いてみました。
午前中は、毎日2時間のスーパー巡り。かかとを上に挙げてストンと落とすことを100回、ゆっくりおろすことを100回、腕も一緒に上にあげたりおろしたりして10分かけて行う。食事の1日の割合は4:4:2くらいで、野菜・魚・すりごま・納豆・豆腐などが中心です。朝5時頃に起きて、夜は8時頃には寝るそうです。あとは、自分で脚や腕にせんせんねん灸を毎日据えていて、私が月2回鍼灸治療をしています。昼寝はほとんどしませんが、ウトウトすることはあるようです。
母の運動を私も実践してみました。かかとをストンと落としたりゆっくり落としたり(腕の上げ下ろしも一緒に)すると、ふくらはぎが筋肉痛のような感じになり、少し汗ばんできました。これは筋肉を鍛えるのと、骨密度を上げるほか、循環血液量の増加により心肺機能を高めているのが実感できます。慣れないうちは少しづつから始めて増やしていくのがよさそうです。
ウトウトすることですが、最新の研究では、ウトウトしたり30分以内の仮眠は認知症の予防になることがわかってきました。また、仮眠中の脳波と瞑想中の脳波が同じθ波であることも解ってきました。鍼灸治療は、もちろん免疫力アップです。
そこで、母の日常生活をヒントに健康で長生きするための、方法を考えてみました。
毎日の習慣にすると困難ではなくなります。簡単な運動で健康を維持しましょう。
あし・こし・あたま
~どうせ長生きするなら健康がいい~
足・腰をきたえ、認知力・免疫力を高める方法
人間は遺伝子で120歳まで生きることが科学で解明されている。そして、どんどん平均寿命が延び2016年の統計では男性81,0歳、女性87,1歳となっている。100歳を超えて生きることが当たり前の時代がすでに来ていると言えます。どうせ長生きするなら健康で楽しく長生きしたいものです。身体が健康なだけではなく、精神活動も社会生活も健康でなければ楽しくありません。自分の寿命が100歳を超えることを自覚して生きることが大切です。筋肉や骨は年齢に関係なく丈夫にすることができます。
足・腰をきたえ、骨を強くする
・散歩
毎日の散歩は筋肉だけでなく、心臓や肺などの内臓を鍛えることもできます。スーパーに寄って値段を見て、ホームセンターを回ったりするのも散歩のうちとする。少しずつから始めて、1日2時間は散歩します。雨の日は無理に出ないで中止にします。週に1・2回は休んでもOKです。
・ラジオ体操
ラジオ体操は、全身の筋肉運動が入っている万能の体操です。1日1回から始めて、無理のない程度で1日3回を目指します。
・かかと落とし(かかとを上げてストンと落とす)
かかと落としは、骨粗鬆症の改善のために行います。骨密度が上がり、骨を強くし、骨折を予防します。1回30回を行い少しづつ増やしていきます。
脳(海馬)を休ませて認知症を予防する
・目を閉じてゆっくり呼吸する(瞑想)
目を閉じて、何も考えずに、胸やお腹の動きを意識しながら、ゆっくり呼吸することで脳の中にある記憶に関係する海馬を休ませることが出来ます。脳を休憩させることで、軽い認知症やうつ病が改善することがわかってきました。1日1回20分。(仮眠30分以内でもOKとする)
鍼灸で自律神経を整え免疫力をたかめる
・鍼灸治療を受ける
毎日ご自身で“せんねん灸”などを据えて、毎月1回の鍼灸治療を受けます。鍼灸は自律神経を整えて、免疫力を上げることができます。
“ゴースト血管”が危ない!
~美と健康を担う毛細血管が消え、シワ・たるみ、認知症、骨折に~
平成30年4月1日のNHKスペシャルで、「“ゴースト血管“が危ない!」という番組があり、ました。見られた方も多いかと思います。
最近の研究で、女性の美肌の大敵である“シワやたるみ”の原因が明らかになったのですが、それはゴースト血管にあったのです。この“ゴースト血管”というのは、毛細血管に血が流れなくなり、気付かない内に消えて無くなってしまう現象です。目じりで比較すると、30代に比べ70代では、毛細血管が半分以下になっているのです。
毛細血管を健全に保つことが美肌のカギになるのですが、毛細血管がゴースト化すると着実に肌を蝕んでいき、しかもゴースト血管は、肌だけの問題ではなく、私たちの体のあちこちで進行し、深刻な病につながることも解ってきたのです。
全身に張り巡らされた毛細血管には、とても重要な役割があり、それは細胞の一つひとつにくまなく酸素や栄養素を届けることですが、毛細血管がゴースト化してしまうと、酸素や栄養が絶たれるため細胞が死んでしまうのです。それは、最近、毛細血管の血流を計ることのできるゴースト血管スコープという機器が開発されたことにより、このことが次第に解ってきたそうです。
毛細血管が消えると、様々な病気になることが分かってきたのですが、その一つが、女性の美しさにとっては大敵の、“シワやたるみ”です。これも毛細血管が消えることのよって起こってまいります。また、前述のように美容だけでなく、全身の健康にも重要な問題をひきおこします。
例えば、ゴースト血管が脳で起これば“認知症”になるのですが、この認知症も、誰にでも脳の中にあるアミロイドβタウ蛋白が、脳の毛細血管の先端が壊死すると、余分のアミロイドβタウ蛋白を処理できなくなり、その結果、アミロイドβタウ蛋白は塊になる性質があり、排出できなくなるから認知症になりやすいと言われています。また、これが骨で起これば骨折や寝たきりの原因の“骨粗しょう症”になるのです。骨には、骨を壊す破骨細胞と骨を再生する骨芽細胞があり、毎日骨の破壊と再生が繰り返され現状を維持しているのです。しかし、骨にある毛細血管の先端が壊死すると、壊された骨の残骸を上手く処理できなくなったり、栄養も十分届かなくなったり、骨を作る作用も低下し骨粗しょう症になります。他にも肝臓や腎臓などの内臓で起これば、その“臓器の機能低下”を招き、私たちの健康寿命を妨げているのです。
20代から70代の健康な人の中でも、全身に張り巡らされている毛細血管の数が減って無くなっていたり、また、血管が細くなったり短くなって末梢の血流が悪くなっている人が多くなっているそうです。例えば、女性に多い冷え性などもゴースト血管の影響だろうと考えられ、そして、日本人の成人では約60%の人の毛細血管がゴースト化しているといわれています。
毛細血管ゴースト化危険度チェック
① 大食い しない0点 時々1点 大食い2点
② 風呂に入る 入る0点 シャワーだけ1点
③ のどが渇く 乾かない0点 時々1点 よく乾く2点
④ 運動 毎日0点 週3日以上1点 しない2点
⑤ タバコ 吸わない0点 吸う1点 よく吸う2点
⑥ 高血圧 正常0点 やや高い1点 高い2点
⑦ 日中の眠気 ない0点 時々1点 よくある2点
⑧ 年齢 45歳未満0点 46~60歳未満1点 61歳以上2点
7点以上:高い(特に気を付ける)
5~6点:中程度
4点以下:低い
*対策:適度の運動・睡眠・休息と食生活の見直しやストレスを減らすことが大切です。
(平成30年4月1日 NHKスペシャルより)
東洋医学鍼灸と毛細血管
鍼灸には、この末梢の血流改善にはとても良い効果があることが、科学的にも解っています。以前、東洋療法学校協会から発行された「鍼灸の世界」の中で鍼灸科学最前線「微小循環とはりきゅう」と題して、「“足が冷えて眠れない”というのは冷え症の人に共通の悩みですが、これは足の血行が悪いためです。というのも、私たちの身体の熱は血液によって全身に運ばれるのです。鍼を行うと、ちょうどお風呂に入って身体がポカポカするのと同じ感じがするのですが、これは全身の血行(微小循環)が良くなるためです。温度の違いを色で示すサーモグラフィーで、鍼を行う前と後の体温分布をみると、施術後に全身が温まり血行が良くなったことが一目でわかります。例えば、手の親指と人差し指の間にある“合谷”というツボに1本の細い鍼を刺すと、鍼の周囲だけでなく、指全体、腕、肩、頸、顔と、全身が温かくなっていきます。しかも不思議なことに、鍼を刺していない側もほとんど同時に温かくなります。血行がよくなれば、冷たくなった足の先まで血液がスムーズに運ばれ、つらい足の冷えも解消されるという訳です。」と述べられています。
このように東洋医学の鍼灸は微笑血管(毛細血管)の血流を改善することが、科学的にも解っておりますので、毛細血管の血流不足による認知症や骨粗しょう症、それに肝臓や腎臓などの様々な内臓の病気の予防に役立てて頂きたいと思います。
みちえ鍼灸院