裏・アドベンチャーゲーム研究処アワード2010 | アドベンチャーゲーム研究処

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アドベンチャーゲーム(AVG・ADV)の旧作から新作まで、レビュー+紹介を主として取り上げるブログ。(更新は不定期)
取り上げる範囲は家庭用のみです。

【概要】
前回の裏版。解りやすく言えば、ゲス話。

【関連リンク】

裏・アドベンチャーゲーム研究処アワード2008
裏・アドベンチャーゲーム研究処アワード2009

【最も引っ張られたADV賞】

東京トワイライトバスターズ ~禁断の生贄帝都地獄変~ 特典 Amazon.co.jpオリジナル 小冊子(B5版)付き
DS『東京トワイライトバスターズ ~禁断の生贄帝都地獄変~』
販売・開発 STAR★FISH

この部門はケータイアプリの『7th Blood Vampire』(発表4年)
DS『「超」怖い話DS 青の章』(延期3回)など、候補が意外と多いのだが、
それでもぶっちぎりで発売を引っ張っていたのが、この『東京トワイライトバスターズ』。
なんせ発表から延期回数は6回を数え、その長さはおよそ2年。
一時期は季節と発売予定の追いかけっこをしていたほどで、
果たして本当に発売する気があるのか良く解らない状況が続いていたため、
今年に発売日が正式決定した際もかなり胡散臭い視線が送られていた。

そもそもこの作品自体がPC98時代のウルフチーム(現テイルズスタジオ)が手がけた
カルト人気のアドベンチャーゲームを家庭用向けにリメイクするという、
たまにあるマニア向けのベタ企画だったため、ここまで引っ張ること自体がかなり異常だった。
(なんせ、あの『海腹川背・旬』よりも長い期間延期している。)
ここまで延期が繰り返された原因は全く持って不明だが、
元ネタの制作元である日本テレネットの版権がサン電子が買い取ったり、
STAR★FISH自体、凍結したソフトがそれなりにあったためその関係かと思われる。
全く売れなかった上に延期の長さから考えておよそペイできたとは思えないが、
いくらでも頓挫するタイミングは有ったにも関わらず発売したSTAR★FISHには素直に拍手だ。

ひぐらしのなく頃に絆 第四巻・絆(通常版)「超」怖い話DS 青の章
(候補 『ひぐらしのなく頃に絆 第四巻・絆』『「超」怖い話DS 青の章』)

【最もブランド力を落としてしまったADV賞】

バーストエラー イブ・ザ・ファースト
PSP『burst error. EVE the 1st』
販売 角川書店 開発 HOBIBOX

今年で15周年を迎えた『EVE』シリーズの新生を謳って発売され、
名作『burst error』をベースに、ノベルゲーム化や出演声優の刷新などが行われた作品。
タイトルに『1st』と付け、設定の多くを改変して恐らく新シリーズ化も視野とした
現代風のリメイクとなったが、新規で付け足した部分がファンから悉くブーイングを受け、
2万本程度の初動は期待できたはずの『EVE』シリーズにして、
初週からメディアクリエイトランキング圏外、累計も恐らく過去最低となり、
今更元に戻るわけにもいかなくなったため、実質シリーズの止めを刺してしまった。

この方向転換は、仕切直しが図られた前作『νジェネレーション』がコケ、
(『νジェネレーション』時点で、ノベルゲーム化の兆しは見えていた…)
声優のギャラが高騰や状況の変化(あの故・野沢那智も参加)もネックになり、
更には購買層であるファンも高齢化していたため…かと思われ、
新世代向けにリスタートするのは、全く持って問題はないと思うのだが、
シリーズとして冒険すべき場面にして15年前の作品を持ってくるのは、
はっきり言えばやらんとしている事がムジュンしている。
その姿勢を含め、今年最もシリーズのブランドが失墜したタイトルだ。

うみねこのなく頃に ~魔女と推理の輪舞曲~
(候補 『うみねこのなく頃に 魔女と推理の輪舞曲』)

【埋もれてしまったADV賞】

HOSPITAL. 6人の医師(特典なし)
Wii『HOSPITAL. 6人の医師』
販売・開発 ATLUS

『カドゥケウス』シリーズの流れを汲みつつ、
手術のバリエーションとドラマ性を特化した新作医療ゲーム。
元ネタシリーズは国内よりもむしろ医療ドラマが定着している北米で受け、
実質前作であるWii『New Blood』は国内で展開したものの、
そのアメリカンコミックチックなビジュアルは日本で売れそうな要素がゼロだった。

今回はブランドの仕切直し的な意味もあり国内受けを狙って絵柄も変化、
ジャンルもアクションゲーム寄りだったがアドベンチャー寄りとなり、
プロモーションもこれまでと比べかなり積極的に行われることになった。
のだが、元のシリーズ自体がニッチタイトルだった日本は勿論のこと、
興行的にメイン市場だった北米でも評価は高かったものの、
競合タイトルが多すぎてセールスは伴わず。実質的にこの路線は死に体となってしまった。
海を越えた埋もれっぷりで、今年一番の残念タイトル。

維新の嵐疾風龍馬伝探偵 神宮寺三郎DS 赤い蝶
(候補 『維新の嵐 疾風龍馬伝』『探偵 神宮寺三郎DS 赤い蝶』)

【最短ADV賞】

TRICK DS版 ~隠し神の棲む館~ ベストセレクション
DS『TRICK DS版 隠し神の棲む館』
販売 KONAMI 開発 WORKJAM

携帯機に移行後のアドベンチャーはボリューム不足が顕著で、
実際、昨年のフリューや一部のキャラクターゲームは、
フルプライスで大丈夫なのかと思うほどの作品が出ている…
というのは今更私が言うまでもなく、この『TRICK DS版』も、
ボリューム的には急げば4~5時間でクリア可能という、
劇場版へのメディアミックス興業に合わせたお手軽な内容だった。
のだが、そんなソフトはDSでは探せば多数あるのが実情で、ここで取り上げるほどでもない。
問題はフルプライスから廉価版が出るスピードの速さで、
なんと発売半年で低下が5250円から1980円まで値段が落とされている。
その高速さを含めて、迷いなしのこの枠。

踊る大捜査線 THE GAME 潜水艦に潜入せよ! 特典 カエル急便特製タッチペン付き
(候補 『踊る大捜査線 THE GAME 潜水艦に潜入せよ!』※『探偵・癸生川凌介事件譚』)

※実際は昨年からだが、地味にケータイアプリシリーズが復活。復帰一作目の『黄昏は瑠璃の追憶』は全6話形式で配信されたのだが、一話500円という価格設定にして全6話でようやく初期アプリと同等のボリュームという仕様になっていた。さらには一話100円へ一時値下げなんかも行われている。


【移植に難があったADV賞】

コープスパーティー ブラッドカバーリピーティッドフィアー(通常版)
PSP『コープスパーティ Blood Covered:Repeated Fear』
販売 5pb.

先に言っておけばアドベンチャーゲームとしてはそれなりに面白い。
のだが、元ネタが10数年前のRPGツクール制作による同人ということでなのか、
2010年の作品にして既読スキップなし、というかデモ部分はスキップ不可、
にしてセーブは随時不可でスロット数は5で制限され、テキスト送りは決定ボタン連打必至、
フィールド移動ありにしてダッシュなしで、再プレイのことをあまり考慮されておらず、
更にバックログもなく、そのくせロード時間だけはかなりある…という、
インターフェース周りは本気で10年前にタイムスリップしたかと思わせる仕様となっており、
快適面ではおよそ家庭用移植とは思えないレベルだったため、この枠で。

【最低企画賞】

ザックとオンブラ まぼろしの遊園地
DS『ザックとオンブラ まぼろしの遊園地』
販売・開発 KONAMI

もうパッケージで何もかもを語っている気がするが、
KONAMIが発売した、企画時点で被せたとしか思えないほどアレに似た何か。
名前を出すのはアレかと思うので、この文章ではアレで通すが、つまりアレだ。レイトン教授だ。
この作品、発表時からあまりの企画の被せっぷりがネットを中心に話題を呼び、
実際ゲーム内容やプロモーションはどう考えてもアレと被せていたのだが、
露出度は高く、オリジナルに位置するあのゲームは今年発売されなかったにも関わらず、
ターゲットとしたライトユーザーからは見向きもされず、商業的には不振を極めることとなった。
このダダ被せ企画の結果は、ある意味「単なるコピーでは代替になり得ない」という
至極当然の教訓を与えた…と思ったのだが、流石はKONAMIで全く学ばず今度は3DS向けに
『ドクターロートレックと忘却の騎士団』というほぼ同じ路線の作品を発表している。
こちらはなんとオリジナルのアレの新作とハードや発売時期が被っており、
これ以上に苦しい展開が待っていそうなため、来年のこの枠が早くも決まった感が。
その懲りない姿勢に文句なしでこの部門。

(候補 『ノックアウトピープルズ ~ちょっと残酷な博覧会~』)

【最低続編賞】

該当作なし。
それどころか、今年は注目を集めるレベルの続編自体が…。

【最低ADV大賞】

該当作なし。
実際のところ、『天下一★戦国LOVERS DS』や『アクエリアンエイジ』など
今年は…いや、今年“も”アドベンチャーでは評判がすこぶる悪い作品が登場しているのだが、
ミステリ系では昨年のフリューのような新参鳴り物入りもなかったため、
私は突出して「酷い」と言えるレベルの作品には出会わなかった。
え?『レッド シーズ プロファイル』は今年なのか?あれはそんなにつまらなくはないぞ…。

【コメント】
ネット社会怖すぎる…え、いや、色々あるんですよ。

今年は表を少数精鋭に、裏をバリエーション重視で作ってみました。
正直、昨年で言うところのフリュー的な商品レベルに達してないと
言える様な作品は回避していたので、悪口記事としてはパンチが弱い。



じゃ、また来年。