新年の挨拶+気になったニュースあれこれ | アドベンチャーゲーム研究処

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アドベンチャーゲーム(AVG・ADV)の旧作から新作まで、レビュー+紹介を主として取り上げるブログ。(更新は不定期)
取り上げる範囲は家庭用のみです。

【新年の挨拶+気になったニュースあれこれ】

あけましておめでとうございます。

「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」の新規プロジェクトがスタート。浅田 誠氏の手により,名作アドベンチャーゲームが“新生”する



ということで、年の瀬にゲリラ発表された『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』のリメイクの件。
ディレクターは原作者が同じの『ミステリートf 探偵たちのカーテンコール』を手がけている元CAVEの浅田誠氏。インタビューを読む限り、シナリオ展開への大きな改変は加えず、プレイアビリティの向上、テキストを現代風にリライト、ビジュアル変更などが行われているそうな。

この作品が現在のループ文脈、ひいてはオタク文化へ与えた影響は今更言及するまでもないけど、「A.D.M.S」というシステムそのものの後継は途切れているので、その辺りの調整と翻訳はADVとは別畑(かつキチンとしたディレクター)の人間がやるのは必須なんざんしょ。実際、『善人シボウデス』や『涼宮ハルヒの追想』よろしくヌルいフローチャート『YU-NO』でやられた日には旧ファンから叩かれるのは目に見えてるし。
浅田さんのADV前作『インスタントブレイン』は、90年代ギャルゲー的な空気感を出したところで力尽きていたけども、システム的に悪戦苦闘した痕跡はあって、ブラッシュアップされているなら期待はできるのでは。

リメイクの是非については、対応ハードその他の都合で今やプレイそのものが困難化している現状から考えると、まあ歓迎する気持ちの方が多いんじゃなかろうかと。そもそも現代でプレイするには時間と手間のかかりすぎる「A.D.M.S」に根気づよく付き合うユーザーも限られるだろうし、ねぇ。

アドベンチャーゲームの先駆者、菅野ひろゆき氏が死去。

XBOX One『CHAOS;CHILD』初週1,415本の販売に終わる。

CHAOS;CHILD(限定版) (設定資料集、二枚組サウンドトラックCD 同梱)

マルチで売り出す前提の商品の先行発売にハードごと買わせる訴求力なんてあるわけないじゃーん。
というのは誰もが思っていたことですが、この想像を絶する売れ行きには心痛まずにはいられない。
結果から見てMAGES.の戦略ミスに疑う余地はないんですが、
厳冬真っ只中の家庭用ADVではかなり体張って頑張っているのも間違いなく、
フォローしている範囲も許容できるものなので、なんとか救われてはほしい。

この後もキャラデザ・原画を担当していた七瀬葵氏の緊急降板が伝えられている『ミステリートF』、
アニメ放送が終わって劇場版も公開済みにして発売日未定な『PSYCHO-PASS』が続くわけですが、
MAGES.の切れる最高の手札であろう科学シリーズの新作がこの状況だと。
他ハードとの同発マルチくらいのことはした方が良いのではとは思う。

『428』、『タイムトラベラーズ』のイシイジロウ氏がフリーランスとして独立したことを発表



インディーズアニメの『アンダーザドッグ』の出資を募ってた下りで「あーまーそうなんだろうなぁ」と。
レベルファイブから配信予定の『魔神STATION』は頓挫してなきゃフリーで関わるんじゃないでしょーか。
フリーということで才能や表現の受け皿がゲーム媒体以外にも広がるんだろうけど、興味があるのは結局ゲームクリエイターとしてなのであまり関心がモテないのが素直な所感。活動幅を広げるのは家庭用の衰退のそれが一因なんだろうし寂しいけども、今のレベルファイブもパイの大きいところにリソース割かざるを得ないだろうし難しいところなんだろう(想像)。
ただまあレベルファイブへ移籍して制作した『タイムトラベラーズ』の出来はかなり厳しい。というか、設定だけ先にあって人物造形やドラマが浅い「如何にもオタクが作りましたよ」感が今まで以上に色濃くあって、作品を商品としてまとめるプロデューサーがいなかったんだろうなぁというのが感想なので、相性の良い所と組んだら期待感はモテるのではとは思う。

『Ever17』、『999』、『善人シボウデス』の打越鋼太郎氏の新作はテレビアニメ!? ノイタミナ新作『パンチライン』発表!



この人もアニメ進出してますね。最近の動向的にチュンに在籍しているかも怪しげ…。
起用はたぶん虚淵玄がヒットした文脈的なアレ。いや仕掛けてるのはMAGES.だけど。
時流に合ってるかは近代アニメにあまり興味がないのでなんとも。発想からおっさん臭がとしか。

このニュースを見たADVファンが10人いたら10人が思うであろう「『極限脱出』シリーズの落とし前付ける気があるんでしょうか。」という疑問は、今年情報が出なかったらたぶん(続きものを音沙汰なしで3年以上引っ張るのは流石に)アウト。
チュンソフトそのものがサウンドノベルに手を引き気味(ここ数年だとスマートノベルくらい?スパイクチュンソフト以降の代表作が『テラリア』『進撃の巨人』な時点で察するべきかも知れないけど)なので、どっかがパブリッシングしない限りは新作なさそうな気もしますが。ということで任天堂さん囲ってください。SCEさんは『Trick×Logic season3』をお願いします。

かつてPSP向けに発表されていたホラーRPG『うしろ』、思わぬ形で世に出る。

うしろ ふきげんな死神。 (角川ホラー文庫)

『タイムトラベラーズ』に再利用された云々の時系列的に可能性は低いであろう噂が出回っていた記憶がないこともない『うしろ』が、ひっそりと媒体を変えて登場し誰にも気づかれないまま消えておりました。この出オチとしか言えない顛末、まさしくホラータイトルと言えるでしょう。
ということでラックプラスは『白北高校最速部』を復活させるべし、と。

.ローカライズは翻訳だけ 世界100カ国に拡大する女性向け恋愛ゲームアプリ:アクセーラ堀内大取締役

オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史

近年の動向として注目しているのがADVフォーマットの輸出。
なんせ十年単位で実質的に鎖国していたジャンルなのでこれは大きな変化でありトレンドですな。
で、その方向で取り上げる中では一番気になったのが乙女ゲームと迎合しているこの記事。
ここではソーシャル性・ゲーム性にはほぼ言及されず物語としてどう惹きつけるかに終始していて、
男女ともに今スマホのライトな層にニーズとしてあるのは「物語」としての消費なのだろうな。
という手垢つきまくりな予測と一緒に、そのフォーマットが海外でも(多少は)通じているのが分かる。

じゃあ家庭用の動向として海外展開はどうか、ってみると、
去年出たのは実績組の『レイトン教授』&『逆転裁判』を除けば
『シュタゲ』で『ダンガンロンパ2』で『かまいたちの夜』と
どれも佳作~傑作水準で反響もあったようだけどナード向けが多めで売れてるかは不透明。
まあ今の家庭用向けはナードしかねーだろという突っ込みは必要だけども。
現在はメディアミックスの原作に位置するような作品を除けばパッケージは厳しく、
チケット制、エピソード販売ものなどの単価の低い舞台へ流れている傾向にあるので、
国内専売でリッチコンテンツをするのは限界があるだろうから海外展開大いに歓迎なのですが、
国内特化での独自性こそ家庭用ADVの良さでもあるので、変に海外かぶれしないかは心配。
ほら、スクエニのあれとか。まあ絶対数が減るよりずっと良いけど。

【コメント】
毎年ベントラーベントラー願ってたら黒田復帰しましたよ、へへへ信じる者は救われる。



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