【最近遊んだもの読んだもの】
Novel『うしろ ふきげんな死神。』
レーベル:角川ホラー文庫 著者:後藤リウ
2008年に発表されて以降、音沙汰のないまま立ち消えとなっていたレベルファイブ発のPSP向けホラーRPG『うしろ』が約6年越しに小説として現物になった…という曰くつきの品。シリーズとして展開される予定で、本作はその一巻という位置づけであり、続くことを想定した終わり方をしている。1月に2巻を発売予定としているが1月31日現在発売されていない。
評価:40点
ライトノベル化して久しい角川ホラー文庫らしい少しエグめな描写を許容したハートフルファンタジー。なぜ今更90年代的なノリで『死神くん』をやっているのか。ディティールが子供向けな割りにバタバタと人が死ぬのはミスマッチなのでは。にしては顛末が予定調和にも程があるのはどうなのか。など野暮なだけのツッコミにはなんの意味もなく、ボツになったであろうゲーム像を想像しながら「ああ、だからポシャったのか」という答え合わせを楽しむのが正解。本として残るものはないけども、このレーベルで求められる最下限の義務はクリアしているのでこの点数。
App『FRAMED』
開発:Loveshack
Kick Starterにて資金援助を受けて配信された、マンガのコマを切り替えることで物語を展開させるパズルゲーム。配信後は主に海外で賞賛を受け、メタスコアは87点を獲得し賞レースも公式サイトで自慢する程度には食い込んでいる。
評価:50点
パズルにラン&ジャンプ的な解釈を加えた意欲性(解りやすく言えばノンストップ『ゴーストトリック』)は買いたい。ワンアイデアで乗り切れるギリギリのものをかなり高い純度で提供している意味では、Appらしい切り口勝負の作品で、内容的にはそれなりの成功を収めていると言って問題はない。ただ矢継ぎ早なものを求めるApp市場に合わせゲームプレイに区切りを設けなかったためか、漠然と世界観があるだけで息をのむようなドラマも浸れる余韻も見当たらないのは寂しい。プレイし終えて感じる物足りなさの原因はおそらくそれでしょう。誇大化するAppのマーケット的な上限というのを感じさせるソフトではある。
3DS『名探偵コナン マリオネット交響曲』
販売:バンダイナムコゲームス 開発:スパイク・チュンソフト
『名探偵コナン&金田一少年の事件簿』のスマッシュヒットから枠が生まれたスパイク開発による『名探偵コナン』ものの第三弾。「スパイクチュンソフト」としては初ということもあって、複数のキャラクターの視点から描かれるザッピングものへアプローチが変更され、ターゲットの年齢層も従来より引き上げられている。ただしスタッフ自体はスタッフロールを見る限り、かつてのスパイク文脈。
評価:60点
「キャラクターものだからこの程度」的な妥協を感じさせないのは好印象で、家庭用に相応しいスケール感を持っている点も評価されるべき。立ち上がりの遅さとご都合主義の乱発はご愛嬌だが、ツボはしっかり抑えている意味では良心作と見ていい、ンだけども。だけども、純粋に推理パートがつまらない。原因は視点がひっきりなしに変わってしまうため情報の整理や時系列上の現在位置が定まらず、推理の争点を把握できていないまま漠然とアウトプットを求めてしまっているためで、ハッキリ言えばザッピングがゲーム的カタルシス上のアダになっている。画面がもう少しリッチなら情報の整理・描写不足はカバーできそうなだけに、もったいなくはあるけども…。
【コメント】
3作のみて。