最近プレイしたアドベンチャーゲーム感想集 | アドベンチャーゲーム研究処

アドベンチャーゲーム研究処

アドベンチャーゲーム(AVG・ADV)の旧作から新作まで、レビュー+紹介を主として取り上げるブログ。(更新は不定期)
取り上げる範囲は家庭用のみです。

【概要】
あけましておめでとうございます。(時間差攻撃)

【最近プレイしたアドベンチャーゲーム感想集】

ネットハイ

 近年はオリジナルゲーム企画の絞込みによる安定路線をつき走っていたマーベラス(以下MMV)が仕掛ける、インターネットカルチャーを題材とした新規タイトル。どこかしらで見たシステム・演出テンポに、ネットノリへ露骨に擦り寄った情報露出、そしてそれを隠す気のないあてこすり上等な態度で家庭用冬の時代に殴り込みをかけるもセールス的には撃沈。無責任な絶対正義とタブロイド的なガス抜きを源流としたインターネットの炎上・特定サイクルをテーマとすることもあって、どこまで危ない橋を渡れるかも見所…かと思いきや、そのへんはかなりマイルドにしてあるので安心して御子息へプレゼント可能。

『ネットハイ』 56

 キャラデザから放たれる安永航一郎臭からの「こういうの流行ってるんでしょ?」的な企画意図のあけすけさが、どことなく00年代後半からの駄目駄目なサンデーを彷彿とさせる。しかし落ち着いて欲しい、これこそ僕らの好きだった、まだ死にたくなかった頃のMMVではないかと。さあ皆さん、500円を片手に『王様物語』でも『サクラノート』でも『悪逆の季節』でも良いから中古屋さんのワゴンコーナーから救い出してあげてください!ゲーム内容的には「モデル借用の割にはしっかり作ってある」という青写真に沿って、それなりにお金と手間をかけているリッチコンテンツで、決して遊べない出来ではないんだけど、特定することであらわになるキャラクター像崩壊への振り幅が極端だったり、相手のステレオタイプな主張に対する反論もまたステレオタイプにすぎなかったり、特定・炎上を陽動するサイクルを表現できていないシステムだったりを通じて、作品としてのオリジナルのなさが浮き彫りになってくるのはしょっぱい。否、このしょっぱさこそ僕らが好きだったあの味のはずだ。

【PS 4版】 STEINS;GATE 0 【初回封入特典】PS4版「STEINS;GATE HD」DLCコード同梱

 まーた『シュタインズ・ゲート』の派生作品が増えました。初のナンバリングタイトルを銘打った雨後の筍で、今までメディアミックスとして展開された来た外伝作品を下敷きにしたゲーム化でもあるそうです。新作にして初代『シュタインズ・ゲート』のPS4版をDLできるコードが初回特典な時点で何かを察するべき。

『シュタインズ・ゲート0』 52

 ナンバリングというよりファンディスク。なのは発売前からみんな察してたろうし、評価の出揃った現在では今更な話。ギミックやモチーフの変化こそあれ、やっていることが過去のヒット要因をなぞった縮小再生産にすぎない意味では、ここが『シュタインズ・ゲート』というコンテンツのゴール・飽和点ということでいいんじゃないでしょうか。作品がしたいのなら、素直に『Anonymous;Code』か『Steins;何某』の登場を待ちましょう。



 ポケモンの世界観をベースとしたバディ系の探偵ゲームであり、恐らく『えいごで旅するリトル・チャロ』以来の国内メーカー開発による任天堂産ADV。未発表時点でNHKのドキュメンタリー番組に制作現場が紹介されたことで話題となった作品だが、発表自体は配信1週間前からゲリラ的に行われており、特に初出のトレーラーで大谷育江の甲高い「ピカチュウ」のイメージを覆す大川透ボイスの「ピカチュウ」が公開されネットで注目を集めていたことのほうが記憶に新しいか。

『名探偵ピカチュウ ~新コンビ誕生~』 44

 カートゥーンを地で行ったビジュアルから海外売りのムービー主導系かと思いきや、蓋を開けてみるとゴリゴリの『ふぁみこんむかし話』路線で、血脈としてはちゃんとした任天堂産のADV。大川透ボイスのピカチュウとのコミュニケーションが売りなんだろうけども、スキップ不能なムービーをいちいち聞かされるのは(そりゃ大川ボイスは好きだけど)鬱陶しい。探偵ゲームとしてのテンポは導入~中盤までフラグがヌルめな作品にありがちな「やらされている感」が漂い、ストーリーラインもはっきり言ってつまらない。後半盛り返し気味だったので次回作に期待。

ライフ イズ ストレンジ

 スクウェアエニックスの仕掛けるタイムリープを題材とした青春SFミステリ。開発は『Remember Me』(日本未発売)を手がけたフランスのゲームスタジオDONTNOD Entertainment。「AAAとインディーズの中間の立ち位置」とされ、海外ではエピソードごとの分割販売形式で配信がなされた。販売は国内パブリッシャーということもあってか、海外産ADVのローカライズとしては珍しく全面吹き替えがなされているのも特徴。

『Life is Strange』 60

 ゆったりとした画面作りで等身大の人間を描きたかったのは解るんだけども、ゲームプレイまでゆったりされると(近代ゲームの暴力性に対するアンチテーゼ的な)志しの押し付けに見えてしまいがち。いや確かに、盛り上がるところは盛り上がるし、タイムリープのギミックもなかなか楽しい。ゲーム的な出来は決して悪いわけでもない。こういう展開が想像の外側には到達しない〝ベタさ゛はネットで絶賛されるパターンなんだけど、クリックに対するレスポンスがいちいちフルボイス・アングルありというテンポの悪さが、やらんとしていたことをスポイルしている気がして仕方ない。話もキャラクターの掘り下げも立ち上がりが遅く、ゲームプレイと二輪でダルさを誘ってくる前~中盤を耐えれるかは、恐らくこのタイトルにおける最大のハードル。映像やろうとしているのに、ポイント&クリックしすぎてるのがアダとなっているのでは。

ファタモルガーナの館

 2013年に同人ゲームながらシナリオ・音楽演出・世界観などの高い完成度からクチコミを呼び、現在進行形でメディアミックス・外伝展開がなされている作品。昨年はiOS移植も行われたが、配信当初は大量のバグでまともに遊べなかったことでも話題になった。

『ファタモルガーナの館』 60

 インディーズ界隈で評価は知っていたので、かなり期待してプレイしたものの、正直肩透かしだった一本。確かに構造的な物語として見ればかなり手が込んでいるんだけども、トリックに固執しすぎて本当に描きたかったであろう人物造形や心情描写がどこまでもクドく映るあたり、本末転倒な印象を覚えずにはいられない。構成上の参考にしたと言われる『ダンガンロンパ』よりもむしろ、長所・短所ともに打越鋼太郎的なそれをアップグレードさせたような印象なので、5pb.あたり後ろ盾について海外輸出したら案外受けるのかも。



 2012年頃に解散(推定)したワークジャムのスタッフが再結成して仕掛けるサスペンスアドベンチャーゲーム。事前登録の特典に神宮寺三郎をゲストとしたクロスオーバーエピソードが配信され、探偵ゲームとしては「その血脈」であることが強調された作品だったものの、ゲームシステムそのものはチケット制による基本プレイ無料のそれ。

『イヌワシ うらぶれ探偵とお嬢様刑事の池袋事件ファイル』 評価不能

 ソーシャルゲームは課金するか否か、額によってゲームプレイの印象が変わるので買い切りと並べての評価対象にはしてません(念押し)。キャラがステレオタイプで魅力薄とか、展開がありきたりな上に人間関係の過程の描写がなさすぎるとか、そういうことは思っていても書きません。書きません。

【コメント】
駄目駄目いっても『ネットハイ』ちゃんが可愛いのが伝わってくる記事ですね。
バーチャルネットアイドルゆきはヒッピー田中Pとマーベラスエンターテイメントを応援しています。



Twitterボタン