あれから、15年。(60)張り込み中 | 泣き虫デザイナーのニューヨーク奮闘記、 のその後、それからの ご あきうえ

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ファッションデザイナー「GO AKIUE(ごあきうえ)」のブログです。
I am a fashion designer.
Creating clothes is my passion. I've designed clothes and accessories for actors, singers, and other media personalities.



「あれから、15年。(60)張り込み中」


四日目。
その夜、オレは自宅アパートメントの近くに居た。

近くの公衆電話から、自分の部屋に電話してみる。

プルルルル…

「はい」

やっぱり、日本語で電話を受けたのはT田さんだ。

オレは自分のアパートメントの通り向かいで「張込み」を決行した。

T田さんも、ずっと部屋に居るわけではない、
煙草を買いに出たり、食料を買いに出たりするはず。
だって、そこはT田さんの部屋ではないから、
T田さんの生活用品が揃ってるわけではない。
きっとT田さんは外に出るはず。


………………

夏をもうすぐ目の前にした、この時期のNYは湿度が高い。
むしむしするなぁ。
そんな事を考えながら、通り向かいの影に潜みオレはその時をじっと待った。

何時間くらい経ったんだろう…

エントランスを凝視してたオレの目に、とうとうT田さんの姿が映った!
なんだか、少し疲れてる様に見える…

アパートメントのエントランスを出て、T田さんは左へ、Lexington Avenue方面へと歩いた。

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(ちなみにレキシントン・アベニューは桜が有名。
なんだか、ちょうど2000年の春、自転車でレキシントンの桜の下を走ってたのを思い出すなぁ…)


T田さんがレキシントン方向に行くのを見ながら
ありゃ、物買うなら右側の3rd Avenueのが良いDelhi多いのになぁ。
T田さんまだこの辺詳しくないからなぁ。
なんて、呑気で無責任な事を考えた。

時間は限られている。

頭を切り替えて、
オレは自宅アパートメントのエントランスへと走った!
ドアマンさんと目が合ったから、軽くウィンクして挨拶した。

エレベーターで自分の部屋の階に上がる。
そして、自分の部屋へと。

部屋にはタバコの吸殻が灰皿にいっぱい。
T田さん、ずっと一人で居たのかな…

オレはチェストの目当ての引き出しを素早く開けて、
Tシャツが何枚かある間にしまっておいた箪笥貯金を取り出した。

そして、次に何枚かのTシャツと、下着類や靴下と
パスポート等のIDカード類を取り出して、
いつも生地屋街に行く時に使ってた鞄に入れた。

四日ぶりの自分のアパートメントは懐かしかったけど、
悠長に眺めてる時間はない…

部屋を出て、エントランス階に降りて、
そしてドアマンに目配せをしながら、
エントランスを突っ切ってアパートメントを出た!

無事計画は成功した…


………………

なんだか、腹が立つね。
自分の取った行動ながら、15年経った今、
これ書いてて自分の行動に凄く腹が立つ。

T田さん、ごめんなさい…



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#LexingtonAvenue #3rdAvenue #レキシントンアベニュー