いい声としょーもない関係『ロンサム・ウェスト』 | 拝啓、ステージの神様

拝啓、ステージの神様

ステージには神様がいるらしい。
だったら客席からも呼びかけてみたいな。
観劇の入口に、感激の出口に、表からも裏からもご一緒に楽しんでみませんか。

拝啓、ステージの神様。


「しょーもない」ばかり連発してスミマセン。



瑛太さんが舞台で発する声に惚れ惚れしてしまう。

ドラマやインタビューなど、つまりテレビで聞く時には、一度もそう思ったことがないのに、

舞台で発する声がいい。


『ロンサム・ウェスト』

コールマン・コナー(堤真一)とヴァレン・コナー(瑛太)、兄弟はいつも喧嘩をしている。

スラングたっぷりで相手を挑発し、噛み付き合い、胸ぐらをつかみ合い。

それは、父親の葬儀の日ですら変わらなかった。

そんな兄弟相手に、大人びた口ぶりで対応する少女・ガーリーン(木下あかり)、

そして、そんな二人をなだめ改心させることが出来ない自分に落胆しているウェルシュ神父(北村有起哉)。


4人だけが登場する舞台、シーンはほぼコナー兄弟の家で進んでいく。

そんなに気が合わないなら、そんなに互いを尊重出来ないなら、離れればいい。

でも2人はその家にいる。兄弟はいつだって互いの視界に入る場所にいる。

そしてまた、スラングたっぷりで互いを罵り合う。

背が高くて、文句なくカッコイイ2人の俳優が、一言しゃべる毎に、一歩動くごとに「しょーもない」男に見えて来る。

途中、彼らの言動に「やーだー」と思わずつぶやき声を上げてしまう人が客席にいたほどだった。


私も含め観客の心の中では何度「しょーもない」とつぶやかれたことだろう。

そんな2人をどうにも出来ないウェルシュ神父も「しょーもない」。

後半、ウェルシュはある行動により、2人に目を覚まさせようとした。

けれど・・・・・・。


それにしても瑛太さんの声がいい。何度も言いたくなるほどそう思う。

堤さんの目つきも最高にいやらしくていい。何度でも言いたくなるほどそう思う。


でもコナー兄弟は、やっぱりいつまでも「しょーもない」。

しょーもなさすぎて最後まで見てしまうし、しょーもなさすぎて、数年後の2人を想像してみたりしたくなった。



ろん
この戯曲を書いたマーティン・マクドナーは、

1970年生まれだそう。プログラムの写真を

見るとカッコイイ。なんかね。




<公演日程>

2014年5月3日(土・祝)~6月1日(日)

新国立劇場 小劇場 THE PIT