塾をクビになり、仕分けの仕事を何度かやったが、現状は変わらない。
資金に余裕がないため、そうそう遠回りもしてられない。
このブログもマンガ喫茶から投稿しているが、マンガ喫茶は主にハローワーク代わりに使っているので、ブログの更新もままならない。
いつも中途半端に入力しては諦めを繰り返し、だんだん面倒になり、ついには更新すらする気が起こらなくなった。
塾の仕事に未練があるため、せっせと応募を繰り返しているものの、やはり以前のような環境の塾は45の人間には全くない。
あれが奇跡だったのだ。
今となれば痛感する。
塾でクビを宣告されたのは、室長ではなく本部の人間だった。
そこの塾ではクビが初めてだそうで、室長がわざわざ呼んだのだろう。
本部の人間は自分より30後半くらいの若造だった。
年は若くとも社会経験豊富そうな、そんな感じの若造だった。
そんな若造からクビを宣告された。
クビ宣告する当初は、一見申し訳なさそうな顔をしていた。
しかし、途中から反論は一切許さないというような実にふてぶてしい顔となり、さらに後半には、むしろ反論ウェルカムな得意げな表情となっていた。
自分はクビを言い渡されたが、結局何も言えなかった。
若造は、自分が労働契約法違反やらなんやらを言ってくるに違いないと思ったのか、反論を封じるため、採用面接のときの資料みたいなものももってきていた。
しかし、終始その資料に触れることはなかった。
資料を使わずとも、こんなヤツ一捻りでつぶしてやると思ったのだろう。
そして、自分は何も言わなかった。
完全に若造の雰囲気にのまれてしまったのだ。
自分は司法試験の受験生だったということで、議論は強いと自負していた。
だから周りから一目置かれていていると思っていた。
周りが声をかけてこないのも、自分にやりこめられるのを警戒しているのだと思っていた。
いつも周りの会話を盗み聞きしては、自分ならこう返すのになと考えながら、シミュレーションしてきた。
しかし、そんなシミュレーションはてんで役に立たなかった。
反論が怖くて何も言えなかった。
そして、状況の悪いことに、クビを宣告されたのは少人数用の教室である。
薄い壁一枚隔てているが、ほかの講師もいた。
そんな状況で反論すれば、ほかの講師も覗きに来るだろう。
そして裏で嘲笑するだろう。
今考えれば絶対ないと思うが、自分のした反論に対し、ほかの講師も加勢して反論してきたらどうしようという不安もあった。
少なくとも彼らには格好をつけたかった。
狭隘な自尊心がここでも自分を追い込んだ。
そして何もなくなった。