背が高く、髪も瞳も栗色のマーサ。笑顔は、真夏の抜けるような青空みたいに透き通っている。私を見つめる大きな瞳があまりにキラキラしているので、ちょっと緊張した。
「あ、はい、よ、よろしくお願いします」
「あはは、たしかに面白いね、ネズミちゃん」
「いや、私はネズミじゃなくて…」
「お前ら、メシにするぞ!」
「はあーーい!」
マーサは勢いよく返事して、私の前から離れた。まあいいか、名前なんか後でいくらでも言う機会があるだろうし。
私も小さく返事して、カズナのいる囲炉裏に向かった。
ご飯はとてもおいしい。私は食事をしながら、カズナにたくさん質問した。カズナはマーサがいるとよく話すし、よく笑う。2人は息の合った漫才師のように、会話を楽しんでいた。
「マーサは、この森で合宿所をやってて…」
「いや、ちょっと待て、合宿所じゃなくて、宿泊所。れっきとした宿屋だから」
「でも、金とってないし、あいつらと一緒に生活してるだけだろ?」
ふむふむ。この森には、私たちの他にも人が住んでいる。
「それはさ、それぞれ事情があるからさ、金の代わりに、こうして弁当作ってくれたり、勉強を教えてくれたりさ…」
「それじゃ、生活できないだろ?」
「カズナだって、俺たちのケガや病気を、金をとらずに治してくれただろ」
ふむふむ。ということはつまり、カズナは医者で、ここは病院ってことか。だから私を助けてくれたってわけね。
「だって、お前、金ないじゃん」
「カズナもだろ?」
「俺はあるさ。無謀なお前とは違うんで」
「そうだけどさ。だから、こうしてメシを持ってきたり、掃除したりしてるじゃん」
「はいはい」
まるで、学校の休み時間みたい。私は、終始ニコニコしながら話を聞いていた。
つづく
★★★★★
おはようございます
昨日は午後から頭痛が酷くて、午後はあまり更新できませんでした。
今朝もまだ痛くてお薬飲んで寝ています。
早くおさまれ、頭痛。
さて、新しい登場人物マーサです。
優しくて明るい声で、脳内再生してください。
よろしくお願いします。
ともえ