短編 28.弟みたいなキミにときめくなんてありえない | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。


第1話はこちら↓




「俺のことは、カズナと呼べ。お前のことは、ネズミと呼ぶ」


ね、ネズミ ?


「ちょ、待ってよ、私の名前は…」

私が名前を言おうとしたそのとき、扉が乱暴に開いて、背の高い男が元気よく飛び込んできた。


「カズナ、持ってきたぞ、メシ!」

本当に出前が来た。驚く私の前に、ズカズカやってくる出前の男。

「オメェ、誰だ」

「わ、私は…」

見下ろされて怯む私と出前の男の間に、カズナが割って入って言った。

「話したろ?こいつがネズミだ」

「こいつがネズミ?ネズミって言うから、てっきり男だと思ってた」

出前の男は黙ってアゴに手を添えて、私の頭から爪先まで視線を走らせる。

「女ってことは…それじゃあ…」

「ああ、そのつもりだ」

話が終わって私を見る、物言いたげな出前の男。

「な、なによ」

私は、後退りしながら男を睨んだ。男はニカっと口を開け、懐に手を突っ込んで何かを取り出すと、ずいっと私の前にきて拳をパッと開いた。

「ほれ」

「ぎゃあ!」

でっかいクモ!

「ネズミで遊ぶな、こいつは病み上がりだ」

カズナに言われて、出前の男は、私にペコリと頭を下げる。


ごめんごめん、俺はマーサ。よろしくね」







つづく