第1話はこちら↓
2人は互いに頭を下げた。微妙な雰囲気。
「用事は何ですか?」
「いや、別に…」
「じゃあ、もういいですか。俺、続きを描くんで」
カズナは眉毛をピクリと上げる。男の態度が気に入らないようだ。
「あ、うん、ごめんね、邪魔して」
マーサが代わりに答え、カズナの肩を抱いて、そそくさと部屋を出る。対面はあっさり終わった。そのまま向かいの空き部屋に入ると、襖を閉め、向かい合って座る。
「なんだ、あいつの態度」
不満げに言うカズナ。
「きっと不安なんだよ。あいつ、記憶が消されちゃってるから」
マーサが、カズナをなだめるように話し続ける。
「数日前、あいつがここに来たとき、携帯しか持ってなくて、自分の名前すら覚えていなかった。だから…」
「分かってる」
すぐにペナルティだと気づいた。カズナは、トキメカシがトキメクよりも多くときめいてしまうと、ペナルティが与えられるというルールを知っていた。
つづく