短編 34.弟みたいなキミにときめくなんてありえない | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。




第1話はこちら↓





2人は互いに頭を下げた。微妙な雰囲気。
「用事は何ですか?」
「いや、別に…」
「じゃあ、もういいですか。俺、続きを描くんで」
カズナは眉毛をピクリと上げる。男の態度が気に入らないようだ。
「あ、うん、ごめんね、邪魔して」
マーサが代わりに答え、カズナの肩を抱いて、そそくさと部屋を出る。対面はあっさり終わった。そのまま向かいの空き部屋に入ると、襖を閉め、向かい合って座る。

「なんだ、あいつの態度」


不満げに言うカズナ。
「きっと不安なんだよ。あいつ、記憶が消されちゃってるから」
マーサが、カズナをなだめるように話し続ける。
「数日前、あいつがここに来たとき、携帯しか持ってなくて、自分の名前すら覚えていなかった。だから…」
「分かってる」
すぐにペナルティだと気づいた。カズナは、トキメカシがトキメクよりも多くときめいてしまうと、ペナルティが与えられるというルールを知っていた。




つづく