短編 33.弟みたいなキミにときめくなんてありえない | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。





第1話はこちら↓





「ただいまー!」
マーサが宿の扉を開けると、廊下の奥から男が2人歩いてくる。
「おかえり」
「おかえり。あ、カズナさん、お久しぶりです」
「ども」
最初に出てきたのがキツメ、その後ろにいるのがウルム。



マーサの宿に住み着いてる2人の男。キツメは経営を、ウルムは食事を手伝っている。
「あいつ、いる?」
マーサが尋ねると、キツメが答えた。
「いるよ、奥の部屋」
続けてウルムが話をつなぐ。
「朝からずっと、メシも食わずにやってる」
「やってるって、何を?」
カズナが聞くと、マーサは見れば分かると"あいつ"のいる奥の部屋に連れていった。襖の前で立ち止まり、マーサが声をかける。
「入るよー」
返事はない。襖を開けて中に入ると、壁に絵を描いている男がいた。2人が部屋に入ってきたことに、気づいていない様子。マーサが近くまで行き、男の肩を叩いた。
「いたのか。気付かなかった」
「だいぶ進んだね」
「うん、でもまだまだ描き足りない」
カズナは、2人の会話を耳の奥で聞きながら、男が壁に描いた絵を見ていた。
「すげえな、マジで」
「だろ?こいつはエース。んで、こっちがカズナ」
マーサは、カズナにエースを、エースにはカズナを紹介した。





つづく