災害時のTwitter利用に関して | 有川ひろと覚しき人の『読書は未来だ!』

有川ひろと覚しき人の『読書は未来だ!』

あくまで一作家の一意見であることをご了承ください。
お問い合わせは、角川・幻冬舎・講談社各窓口へ。
Twitterアカウントはhttps://twitter.com/arikawahiro0609
悪意ある無断リンク・無断引用、ネットニュース等報道の無断引用は固くお断り致します。

「熊本の避難所で水が不足しているそうです! 有川先生の力でネット上で拡散してください!」
というようなお願いがTwitterのほうに来まして、これは類似の過ちを防ぐためにも、しっかりご説明申し上げておかねばならないことだと思いましたので、急遽このblogを書いております。

本人証明ができず、5W1Hがそろっていない出所不明なネット上の情報を、むやみに拡散することが、状況の打開に有効であるとは思えません。
上記のお願いは、ネット上なので本人証明がそもそも不可能ですし、

When(いつ) Where(どこで) Who(誰が) What(何を) Why(なぜ)したのか?
それに対してHow(どのように)すべきか、あるいはしてほしいのか?

という情報の一切が欠け落ちています。

災害時に水が真っ先に不足することは既に経験則として自衛隊を含む各救援団体が充分に承知していることで、それは早急に対策が取られているはずです。
また、「水」の運搬・分配は素人にはできないことで、それこそ救助活動に携わる関係機関の窓口に通報すべきことです。

このお願いをして来られたご本人が、本当にそのことについて危機感を持っているのなら、ネット上で本人証明ができない「有川浩と覚しき人」などに「お願いです!」と言う前に、自治体・自衛隊・警察・消防・内閣等々の公的機関に通報するべきです。
(もっとも、そうした機関は既に経験則とノウハウを持っているはずなので、既に対策を取っておられるかと思います。無闇な問い合わせがその作業を疎外しまいか、ということまでもご自分でご判断のうえ、「絶対に通報が必要である」と確信できた場合は、自分の責任において通報をなさるべきだと思います)

まずもって私は「有川浩と覚しき人」でしかありませんが、「有川浩と覚しき人」個人として、無闇に不安を煽るような情報を発信することを善しとしませんし、仮に「有川浩と覚しき人」が「有川浩」であったとしたら、著名な人間がTwitterという即時性のある災害時に有用なツールを使って不確実な情報で不安を煽ることはもっとしてはならないことです。

私は日本に起こるありとあらゆる災害について、自分の目で見て役に立つと判断した情報をRTしたり、自分の思うところを発信したりはしますが、第三者の頼みを受けて情報を発信する立場にはありません。

「有川浩と覚しき人」は一個人であり、「有川浩」は一作家でしかありません。
災害について、ありとあらゆる意味で「災害を捌く技術」も「義務」もありません。
災害において最も忌避されるのは、「素人の知ったかぶり」と「素人がしゃしゃり出る」ことです。

Twitterという即時性のある便利なツールで、労力を使わずに責任を伴わない言葉を発信するだけで「何か意義あることを為したつもりになる」のは、非常に怠惰かつ危険なことです。
その不確定性の高い情報の拡散によって、本当に必要な情報が埋もれてしまうこともあり得ます。
ネット上の情報の取捨選択は自己責任。
そして、災害時には特に、混乱を招かないことが各自の利用意識に要求される。
特に「拡散願い」に関しては、慎重な判断が必要とされます。
インターネットの利用について、落ち着いてよく考えてください。
このblogを読んで、冒頭のお願いにお心当たりのある方は、該当ツイートをどうなさるか、ご自分でご判断ください。

(私は先日のネットメディアのツイートの無断利用についての調査続報を既に受けており、それはTwitter上でのことだったのでTwitterにてご報告しようと考えておりましたが、即時性が必要な発信ではないので、現在は寝かせております。
現在のTwitter利用は、基本的には経済活動の萎縮を食い止める災害についてのチアアップ・有用と思われる情報のRTのみとするようにしています。
Twitterの利用を平常の個人利用に戻すのは、救助活動において重要な72時間が経ってからかな、と漠然とですが思っております。何故72時間かは、各自でお調べください。
それも、私なりのTwitter利用についての判断です。ご参考までに)

有川浩と覚しき人より。
(追記:災害時に「テレ東的立ち位置」としての日常を維持している方は、緊張の緩和に貢献しているわけで、それもまたありがたいことだなぁと思います。無責任な拡散よりよほど有意義なことです)
→テレ東元ネタ:『絵日記でもかいてみようか』2016/04/15(金)更新分
(追記2:中途半端かつ無責任な「善意」は、時として悪意と同じくらい有害である。ということを自戒として胸に刻みたいと思います)

※当blogが禁止しているのは主にゴシップ媒体の悪意ある引用のみです。個人様・書店等の有効活用のための引用に関しては、著作権フリーとしますので、ご自由にご利用ください。出版業界に活気を出すための一助になれれば幸いです。(書店・著者関係版元以外のネットニュース等の報道利用については幻冬舎・角川書店・講談社の窓口にご相談ください)。

【blogの注意書きにも書かせていただいておりますが、当blogの個人様・書店さん以外の悪意ある無断リンクや無断転載は固くお断りいたします。悪意を感じられるかどうかは、私と出版社の判断に依るものとさせていただきます。また、blog内容は、あくまで一作家の一意見であることをご了承ください】
【blogの注意書きを変えてほしい方がおられるようですが(特に「悪意ある無断リンク禁止」の部分)、悪意を拒否する意志を発することは自由だと考えておりますので、ご了承ください】