翻訳業界が惜しい人を失った | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

翻訳業界で、田中千鶴香さんを知らない人は潜りかもしれない。日本翻訳連盟の専務理事、スタイルガイド委員長から、品質管理、TC協会やJAT活動など、彼女の翻訳業界への貢献は計り知れない。昨年はJTF関西セミナーを福岡で開催した際に講師としてお招きし、大盛況、また、来年のJTF翻訳祭の実行委員もお願いしていた。ISO17100の認定では個人翻訳者第一号、普及を後押しし、今年も継続審査が終わったばかりだとか。
 
なのに、7月5日、あっけなく旅だってしまった。JTFのある委員会に登場せず、すっぽかすような人でないので皆が心配し、自宅で倒れていたのが発見された。クモ膜下出血だった。
直後の知らせをメールで受け取り、どうしても信じられなかった。いつも元気そのものだったし、昨日までメールでやりとしていたし。
 
今日は彼女の自宅の近くだろうか、相模原の斎場でお通夜が営まれた。受付から会場まで業界の仲間が集まっていた。口々に、なぜ?昨日もメールしていたのに、明日会う予定だったのに、何があった?私も会場に行くまで信じられない思いでいっぱいだった。でも、悲しいかな、事実だった。
 
明日はJTF関西委員会の第1回目のセミナーが大阪で開催される。関係者は本来なら明日の本葬で最後の別れをしたいと思っているメンバーばかり。だけど、田中さんが「成功させてね」って空の上から応援してくれている。彼女の分もがんばろう、って通夜の会場で確認しあった。
 
本当に、人間として、翻訳者として、女性として素晴らしい人だった(きっと、妻としても、母としても、娘としても)。彼女とで出会いのおかげで翻訳業界が大好きになった。うちの社員が仕事のことで悩んでいたら、仕事って甘いものでない、って厳しく諭してくださったし、私がツールや標準化で悩んでいたらすぐに答えが返ってくる。彼女の縁で結婚した業界のカップルもあるし、彼女に励まされた翻訳者は数え知れない。お通夜に来られていた面々を見ていて、ほんとにすごい人だ、ってつくづく思う。
顔も口調も優しいが、内容は鋭かったりもする。それがまたとてもにくい。
 
同い年。早すぎるのに、同士が一人逝ってしまった。