ある日、向かいの家の猫がやってきて「ネクタイをくれないか」と言います。
いらなくなったネクタイを首にかけてやり、数日経つと、「今度は靴をくれないか」と言います。
靴の中に宝物の魚の骨でも隠すのでしょうか。
また後日やってきて、上着とシャツも持って行きました。
どうやら他の家からも、靴下やらベルトやら、もらっているようです。
やがて、となりの家は引っ越して行き、別の人が引っ越してきました。
新しい住人が、引っ越しのご挨拶に持って来たのは、鮭の頭。
毎朝出かけていく姿は、電車で通うビジネスマンですが。
どう見ても、顔はあの猫なんです。
猫背だし。
そしてよおく見ると、表札に「猫玉」と書いてありますから、これは絶対ですよね。
シュールで奇抜で、やや不気味な高畠那生さんの絵。
太陽の下で描かれたような明るい色彩と、都会的なセンスで、ポップなイメージも併せ持っています。
大人のファンが多いのも頷けます。