読み聞かせの本に困った時は佐々木マキ。
と言ったのは私ですが。
佐々木マキさんの本は当たり外れがなく、全部面白いのです。
小学生にもわかるユーモアと、ずれすぎていない奇抜さ。
絵がすっきりして、遠くから見やすいのも、読み聞かせ向きです。
毒気がなく、どこか紳士然としており、安心して読めます。
走るのが遅いオオカミ。
本来は肉食なのに、獲物を捕まえることができないため、野菜と木の実しか食べたことがありません。
一番の好物であるぶたにも「やーい、おおかみ、ここまでおいで、あっかんべー」とからかわれ、悔しいったら。
キツネ博士がやってきて、オオカミに「ぶたのたね」をくれます。
種を蒔いて「早く大きくなる薬」を毎朝ふりかけると、どんどん大きくなってぶたの実がなるそうです。
オオカミは半信半疑でしたが、種を埋めるとその日のうちに芽が出て、ぐんぐん大きくなり、はたしてぶたがたわわに実りました。
ところがなんという不運、たまたまぞうのマラソン大会があり、ぞうがドスンドスンと走ったその振動で、ぶたたちはボトンボトンと地面に落ち、さっさと走って逃げてしまったのです。
ぶたのなる木。
考えたことがありませんでした。
この本のあとでは、どんな木を発明しても、太刀打ちできそうにありません。