「少しでもアレルギーの可能性のある食べ物は、食べなければ安全じゃん」 | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

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「少しでもアレルギーの可能性のある食べ物は、食べなければ安全じゃん」


こんにちは。橋本です。


食物アレルギーの症状が出たときに、「何を食べたのが原因なのか」を突き止めるのに、苦労することがあります。


とくに、食べてからすぐに、急激な変化が出るわけではないタイプ。


症状がアトピーの湿疹として出るようなタイプでは、湿疹が1~2日かけてジワジワ出てくることもあります。


食物アレルギー:食事制限


2つのタイプの食物アレルギー


30分~1、2時間ほどで、急激に症状が出るタイプを「即時型アレルギー」。


一方の、症状が1~2日かけてジワジワ出てくるタイプを「遅延型アレルギー」。


専門用語では、そうよんでいます。


遅延型アレルギーとなると、「何を食べてそうなったか」の推測が難しいこともあります。


症状を確認するまでの1~2日間、何もほかのものを食べないというわけにもいかないですからね。


食べ物でアトピーが悪化するとは限らない


また、「子どものアトピーは、食物アレルギーが原因」とは、必ずしも言い切れません。


もし食物アレルギーが関与していないのにもかかわらず、もともとのアトピーの症状が悪化したタイミングと重なった場合。


「食べ物でアトピーが悪化した!」と思い込んでしまう危険性もあります。


そうなると、治療にとって意味のない、無駄な食事制限をしてしまうことにもなりかねません。


それでも、食べさせることで悪化しそうな気がすると、「なるべく食べさせないほうがいいんじゃないか」という誘惑にかられます。


しかし、「少しでもアレルギーの可能性のある食べ物は、食べなければ安全じゃん」というのは、よくありません。


必要のない食事制限のマイナス面とは


必要のない食事制限(食物除去)をすることは、


子ども → 成長にとって大切な栄養が不足してしまう

ママ → 毎日のごはんを作る手間が増えてしまう


のような、ダブルの意味で、支障が出てしまうからです。


とはいっても、根拠がしっかりした食事制限なら、症状がよくなることがあるのもたしかです。


では、「根拠がしっかりした食事制限」とは、どういうことでしょうか?


食事制限を考える場合の、4つの根拠を少しみていきたいと思います。


血液検査


病院では、どんな食べ物にアレルギーをもっているかを、血液検査で調べることができます。


「特異的IgE抗体検査」とか、「RAST検査(ラストけんさ)」といわれるものですね。


この検査は手軽で、出た結果は参考になります。


ですが、「この食べ物にアレルギーがありますよー」という結果が出たのにもかかわらず、その食べ物を食べても全然平気、というケースもあります。


血液検査の結果だけを理由に食事制限をするというのは、根拠としては弱いです。


プリックテスト


食物アレルギーの検査では、プリックテストも使われることがあります。


皮膚に食べ物のエキスをたらし、そこを専用の針で刺す。


そうすると食べ物のエキスが皮膚の中に侵入するため、10~15分ほどでアレルギー反応の有無がわかる。


それがプリックテストです。


皮膚がどれだけ「ぷっくりはれるか」で、アレルギーの強さをみます。


ただ、プリックテストでみられるのは、あくまでも、「即時型」の食物アレルギー。


1~2日かけてジワジワ湿疹が出てくるタイプの食物アレルギーがあるかどうか。


いわゆる「遅延型アレルギー」があるかどうかは、プリックテストではわかりません。


プリックテストの結果だけを理由に、食事制限をする。


それもまた、根拠としては弱いんですね。


エピソード


食事制限するかどうかを決めるのに、お医者さんによる問診は、とても重要です。


「これを食べてから症状がひどくなった気がするんですが・・・」


そういった具体的なエピソードも、食物アレルギーの原因を探っていく助けになります。


「食物日誌」といって、毎回の食事内容、症状の変化を記録するノートを作ると、お医者さんとの問診、相談に役立つこともあります。


ただしこれも、「遅延型」の症状が出る場合、アトピーが関与する場合は注意が必要です。


なぜなら、アトピーを悪化させる原因は、複数に渡るケースが多く、食べ物以外で悪化しても、食べ物が原因と思い込んでしまうことがありうるからです。


ていねいにエピソードを分析することは大事です。


しかし、エピソードには、「思い込みが入り込む可能性が大きい」と、少し疑ってかかる必要があります。


エピソードだけを根拠に食事制限することもまた、根拠としては弱いです。


最終的には


以上、「血液検査」「プリックテスト」「エピソード」という、食事制限の判断材料をみてきました。


時と場合によっては、たとえば「血液検査」だけを根拠に、食事制限をするというのもありなのかもしれません。


かかる手間や症状の程度。


様々なものを天秤にかけて、個人個人のケースで考えるものだと思います。


でも、上であげたような3つの根拠だけでは、無駄な食事制限をおこなう可能性があるのも事実です。


では、最終的に食事制限の根拠として、より確かなもの、より強いものは、何でしょうか?


それは、


食物除去試験:

特定のものを食べなければ症状が出ないか?


食物負荷試験:

特定のものを食べれば症状が出るか?


食物除去試験・食物負荷試験のダブルチェックです。


「少しでもアレルギーの可能性のある食べ物は、食べなければ安全じゃん」という考え方。


これは一見、安全にみえて、じつは、子どもにもママにも負担を負わせるだけ、無駄な食事制限にもなりかねません。


できれば、食物除去試験・食物負荷試験のダブルチェックを、食事制限の根拠にするのが、より理想的な治療となるわけです。


参考記事:
子どものアトピーは、食事制限したほうがいいのか?を決めるための5ステップ


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