「嫌中感情」に支配された結果…
★ニュースディープスロート ベンジャミン・フルフォード
2015.04.09
Q.AIIBへの不参加を表明した日本は正解だった?
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米も方針転換で事実上の“日本包囲網”状態に。アジア開発銀行と連携を!
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国際社会にとって戦後70年で最も重大な出来事が起きようとしている。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、西側諸国が相次いで参加を表明し、アメリカのみが事実上の拒否権を保持してきたIMFと世界銀行の立場が揺らいでいるからだ。これは戦後発足したブレトン・ウッズ体制の終焉を意味している。
既得権益を守りたいアメリカは当初、西側諸国に対しAIIBに参加しないよう圧力をかけたが、イギリスが参加を表明すると、独仏伊、スイス、ルクセンブルクなどが続いた。同調者がいないと見たアメリカは仕方なく「AIIBと協力する」と態度を転換した。
日本にとっては、恭順を示したはずのアメリカに梯子を外された格好だが、日本政府は3月25日に「参加先送り」を正式決定した。
これは政府や有識者、国民の間に、中国の脅威を根拠とした反対意見が根強かったことが影響しているからだろう。
しかし、“中国アレルギー”にかまけて現実を見誤ってはいけない。
AIIB構想は、中国が主導してきたとはいえ、今後の運営までが牛耳られるわけではない。すでに「いかなる国も単独での決定権を持たない」という方針が打ち出されている。他にもアメリカに私物化されてきたブレトン・ウッズ体制の反省を生かし、公平性を担保するための協議がこれから持たれることになるのだ。そうした交渉のテーブルに着くことすら拒むとしたら、それは愚の骨頂と言うしかないだろう。
■アジア開発銀行と連携すれば国益になる
また日本には、「AIIBの台頭により、自ら主導するアジア開発銀行(ADB)のプレゼンスが低下するのでは」という懸念があるようだ。しかし、AIIBの目下の資本規模は500億ドルであり、ADBの3分の1足らずで、当面はその心配はない。
それどころか、AIIBとADBの連携がうまく機能すれば、国際金融システムにおけるアジア全体の発言力は高まることになる。そうなれば、アジアのリーダーの座を争う中国と日本の国際的地位は、ともに高まることになるのだ。
AIIBが失敗に終わったとしても、すでに国際社会はドル、ユーロ、ポンド、円の通貨バスケットが採用されているIMFの特別引出権(SDR)に、人民元を採用することに前向きだ。
日本が背を向けても、国際金融システムへの中国の影響は力を増すばかりだ。
むしろ日本はAIIBを通じて、チャイナマネーを利用してひと儲けしてやろう、というくらいの気概で臨んでほしいものだ。
「嫌中感情」に支配された安倍政権は、“国益”と連呼するわりに、本当の国益が何かわかっていないようだが……。
◆中国主導のアジアインフラ投資銀行に日本は参加先送り
政府は3月25日、中国主導のアジアインフラ投資銀行への参加について、運営の透明性などで課題が残るとして、創設メンバーとしての参加を見送った。ただし、アメリカの関与や運営体制を見て、6月末までに参加の是非を最終的に決めるとした(写真は中国の李克強首相とIMFのラガルド専務理事)
■ベンジャミン・フルフォード
ジャーナリスト ’61年、カナダ生まれ。米経済誌『フォーブス』の元アジア太平洋支局長として活躍。その後、日本を拠点に、タブーなきフリーランスの外国人ジャーナリストとして執筆活動を展開。著書に『暴かれた9.11疑惑の真相』、『日本を支配する「鉄の五角形」の正体』(扶桑社刊)など多数。『ファイナル・ウォー』(扶桑社刊)が絶賛発売中
写真/EPA=時事
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中国の新銀行に魅了された世界を待つ「未来」
2015年04月07日(火)12時26分
中国政府が設立を提案したアジア投資インフラ銀行(AIIB)は、全世界で大きな反響を巻き起こした。今のところ51カ国が参加を表明しているが(台湾、香港を入れると53の国と地域)、その中にはイギリスやフランス、ドイツ、イタリア、さらに韓国といったアメリカの同盟国も含まれる。
アメリカの猛烈な反対にもかかわらず、AIIBに加盟申請したのはこれらの国だけでない。台湾も自分の価値を安売りすることをいとわず、AIIBに加盟する意思を表明した。今やアメリカと共に踏みとどまっているのは日本だけだ。
経済的メリットだけに気を取られ、その設立提案国である中国とその他の世界の間に存在する大きな価値観の違い、そして中国の抱える様々な矛盾を無視してこの強権国家の側に立つことは、共産党政権の正統性を強化し、その寿命を長らえ、民主化の実現を遠ざけるだけだ。
加盟表明した国に対して私は非常に失望を覚える。共産党政権と取引することがいかに危険な結果をもたらすか、いずれ歴史が証明するだろう。
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中国政府が設立を提案したアジア投資インフラ銀行(AIIB)は、全世界で大きな反響を巻き起こした。今のところ51カ国が参加を表明しているが(台湾、香港を入れると53の国と地域)、その中にはイギリスやフランス、ドイツ、イタリア、さらに韓国といったアメリカの同盟国も含まれる。
アメリカの猛烈な反対にもかかわらず、AIIBに加盟申請したのはこれらの国だけでない。台湾も自分の価値を安売りすることをいとわず、AIIBに加盟する意思を表明した。今やアメリカと共に踏みとどまっているのは日本だけだ。
経済的メリットだけに気を取られ、その設立提案国である中国とその他の世界の間に存在する大きな価値観の違い、そして中国の抱える様々な矛盾を無視してこの強権国家の側に立つことは、共産党政権の正統性を強化し、その寿命を長らえ、民主化の実現を遠ざけるだけだ。
加盟表明した国に対して私は非常に失望を覚える。共産党政権と取引することがいかに危険な結果をもたらすか、いずれ歴史が証明するだろう。
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