ドイツに「大岡越前守」はいない | Bokensdorfのブログ

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国際結婚から考えた「隠れた構造・隠れた文化」について
加えて「世の中の仕組みは実はこうなっている」について書きます

「大岡裁き」という話しが日本にはあります。

遊女が自分の生んだ子供を育てられず他人に預けたが、その後子供を忘れられず引き取りに行くが返してくれないため大岡越前守に訴えたら「子供の腕を両方から引っ張って勝った方が引き取る」としてその通りさせたら子供が痛がって泣くので片方の女が手を離した。大岡越前守は「手を離した方が本当の母親だ」と言って子供は遊女のもとに戻された。

子供の時に聞いたことがあります。
「最初に言ったことをあとで翻すなんてずるい」
と思いました。

この話しは世界中に似たようなものがあるそうで、友達は「中国のおとぎ話」でまったく同じ話しを読んだと言います。
ブレヒトの戯曲「コーカサスのチョークの輪」もまったく同じ話しだそうです。
旧約聖書の列王記第1の3章ソロモン王のエピソードにも似たような話しがあり、こちらは「自分の子供だと主張する二人の女に対しソロモン王は子供を半分に切って両方に分け与えろと言ったところ一人は切り裂かれるなら相手に渡してくれと言いもう一人は半分でも良いと言ったためどちらが本当の母親かを認定した」というもの。ちょっと意味が違う。(ソロモンは前に言ったことを翻していないので)
このソロモン王と同じ「子供を二つに切る」という話しはインドにもあるそうです。(伝聞)


要するに、大岡裁きは日本独特の価値観を表現した物語ではなく世界のあちこちにある、という事です。


ここで私が子供の時に思ったことが甦ります。

「最初に言ったことと違う物差しを後から出してくるのはずるい」


ドイツは法治国家です。
法治国家とは「法律に書いてある事は絶対に守られる」という国です。
日本は違います)(←リンク)

「法律に書いてある事」とは、つまり「規則」「ルール」です。
試合が終わってから、ルールが変更されるスポーツなどありません。
最初に示された「規則」は、必ず守られるのです。
後だしジャンケンは「卑怯者のすること」です。


この話しの女が二人ともドイツ人の女だったらどうするか?


絶対に「子供の腕がちぎれるまで引っ張る」に違いありません。


世界中に同じルールを当てはめる事はできない。
グローバルに通用させられる規則など有り得ない。


ドイツに「大岡越前守」はいないのです。


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