フィリップ・K・ディック No.23◇ザップ・ガン◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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作られているのは実は殺傷能力の無い武器。なのにエイリアンの襲撃で一転本物の武器が必要になってしまった!?






◇ザップ・ガン◇ -The Zap Gun-

フィリップ・K・ディック 大森望 訳



西側陣営の兵器ファッション・デザイナーであるラーズ・パウダードライと、人民東側のリロ・トプチェフは、日々、超次元空間に意識を浮遊させ、独創的で戦慄すべき殺戮兵器を開発していた。だが、この開発競争は東西両陣営による大嘘であった。新型兵器の殺傷能力はゼロだったのだ!だがある日、エイリアンの衛星群が突如襲来し、地球は絶対絶命の危機に! かくて二人は、協力して本物の究極兵器の開発に着手するが…!?



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2004年、世界は未だ西と東に分かれて対立をーーー現在は兵器開発と言う形で続けている。ラーズは西側の兵器ファッションデザイナー。トランス状態を陥ることで超次元空間に入り、スケッチという形でアイデアを持ち帰るのだ。



ところがラーズが考える兵器は実はどれも1つとして兵器として働かない、無害なものなのだ。ではこの後はどうするか、というとコンコモディーという選ばれた民間人がどんな日用品になるかモニタリングするのだ。それを知るのは一部のエリートだけ。一般市民はこうした兵器に守られながら平和を謳歌している、というわけだ。



ところがその平和が破られる時が来た。東西どちらでも無い衛星が打ち上げられたのだ。しかもそれは奴隷を求めて地球にやってきたエイリアンで地球を取り囲んでしまう! かくして嘘はまことに、本当の武器を作る羽目になった。ラーズは東側のリロとアイスランド、ファアックスで本物の武器「ザップ・ガン」を作るためトランス状態に入るが……



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「ザップ・ガン」です(・∀・)

2024年、19日目にして初ディックです。あけおめ!←



む、難しい……! 本文中にはラーズらが作っている武器が偽物である、と表している場面がほとんどないのであらすじが無かったら挫折していたかも知れない……しかしそれは言い換えれば主人公たちの会話や状況だけでそれを示唆できる高い文章力がある、ということに他ならないのでは? あと兵器デザイナーが「ファッションデザイナー」って……! 斬新なアイデアですよね。聞く限り1番相入れないでしょう。



後半になるにつれて話はさらに混迷に……というか色々取り込もうとして失敗した節が……いや、確かにエイリアン衛星を撤退させたからといってラーズの人生は終わるわけがないし、その後日談があるのは良いのですが、話が破綻している。兵器✖️ファッション、発明✖️霊媒とか面白いのにその面白さがいまいち伝わらないというか。いやー勿体無い! ディックって話の良し悪しにもの凄いムラがあるので嫌な人は「もう読むか!」ってぐらい嫌いになるけど、癖になる人もいるよね。



「ザップ・ガン」でした(・∀・)/ 

離婚というのは、ニューヨークでは?(*^o^*)/