フィリップ・K・ディック&レイ・ネルスン◇ガニメデ支配◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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ワーム型生命体ガニメデ人に支配される地球と、支配に抗う黒人解放戦線、そして精神科医たち……最終兵器は幻視兵器!?






◇ガニメデ支配◇ -The Ganymede Takeover-

フィリップ・K・ディック&レイ・ネルスン 佐藤龍雄 訳



星間戦争に敗北し、ガニメデ人に占領された地球。だが人類には希望があった。テネシーの山中で、戦前から抑圧されてきた黒人たちを率いる抵抗勢力の指導者が反撃の機会を窺っていたのだ。その彼を取材するため元恋人のテレビ司会者が訪れる。一方、異端の天才精神科医が開発したものの、だれも使用したことのない最終兵器が発見された。種の生存を賭けた幻視大戦。本邦初訳長編。



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2047年。地球は星間戦争に負けた。今や地球を支配しているのはガニメデ人たる芋虫型生命体なのだ。それでも地球は抵抗をし続けている。アメリカ、テネシー山脈にガニメデに対抗し続ける、「黒人解放戦線」という名前の一派がパーシィXという人物の指示の下、ゲリラ活動を続けているのだ。



そこに1人の女性が向かう。テレビキャスターのジョーン・氷芦だ。テネシーのフォークソングを取材する名目で実はガニメデ軍に協力しているのだ。しかしパーシィXがテレパスを持っていることでジョーンの目的は勘付かれるが、髪の毛につけられた盗聴器によってアジトは急襲され、パーシィXとジョーンはガニメデに囚われる。



テネシーの大地主スウェンズガードは国連軍が隠しているらしいものを探るために地下を掘る。が、そこにあったのは大洞窟と奇妙な電子機器類ーーーこれこそが地球の最後の武器、天才精神科医、バルコーニが開発した「幻視現象兵器」だった! 精神を持つ者全てに作用するこの機械は地球人もガニメデ人も全て呑み込んでいくーーー



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「ガニメデ支配」です(・∀・)

まさかの合作、という前知識無く読んでいましたが、もう1人の作家傾向が分かっていないので普通に「これ、ディック作品だよ」と言っても信じてもらえそうなぐらいディック色満載です。精神に影響を及ぼす兵器とか、地球陣営とガニメデ陣営の複雑な利害関係とか……けれど一方でここの描写はディックじゃ無くてネルスンさんだな、と思うところもあります。ネルスンさんのことはほとんど何も分からないのにディックの気配は分かる、という不思議……



また主人公のパーシィXが幻視現象兵器を嬉々として使いたがる、ものすごく好戦的に書かれるのもディック1人のアイデアじゃないな、と思いました。ディックのキャラはどちらかというと無気力だったり、冷めたりしているので……でも精神科医のポール・リヴァーズは絶対ディック考案だと思います。あとスウェンズガードも。



合作というのは難しい問題をはらみますが、「ここはディック!」とか「ここはネルスンさんかな」と考えながら読むのは楽しかったです。



「ガニメデ支配」でした(・∀・)/ 

『白鯨』に潜り込んだ敦くん。そこで出会したのは……(*^o^*)/