コーネル・ウールリッチ No.35◇喪服のランデブー◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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残酷な事故で愛を失った男は……女を誘惑しては男を破滅させる復讐者になった!






◇喪服のランデブー◇ -Rendezvous in Black-

コーネル・ウールリッチ 高橋豊 訳



二人は毎晩八時に逢った。雨の降る日も雪の日も、月の照る夜も照らぬ夜も。最近に始まったことではない……去年もそうだったし、その前の年も、そのまた前の年もそうだったのだ。しかし、この毎晩のデートも、もう少しで終止符を打たれることになっていたーーもう一週間か二週間もすれば、二人の逢瀬は永遠のものになるーー二人は、結婚するのだ。間もなく、六月になったら。そしてその六月は、遅々とではあったが、やがて巡って来ようとしていたのだ……。それが、一人の心ない飛行機の乗客のちょっとした不注意から、無惨に裏切られてしまうとは……神ならぬ身の、知る由もなかった。

『喪服のランデブー』は、ジョニー・マーの不幸なーーあまりにも不幸な物語である。永劫に癒されぬ悲しみを心に秘めて、彼は、彼の愛した少女ドロシーのために復讐を誓ったのだ。一方、狂った殺人鬼を捕まえようとカメロン刑事は、みのり少ない努力を続けていた。早く、一刻も早く行動しなければならないのだ! 死は既に犠牲者の血に飢えて彷徨している。無辜の人の血が既に四回流され、今、五人目が、死の予告を受けているのだ……



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男はジョニー、女はドロシーと言った。2人とも容姿は普通で、身分も普通。そして結婚を間近に控えた普通の恋人同士だった。毎晩8時の長い逢瀬はもうすぐ終わるーーー筈だった。ジョニーが珍しく遅刻した晩、飛行機が通り過ぎる下を走り待っていたのはドロシーの変わり果てた姿だった。あまりにも変わり果てた姿ーーーもう生きていた頃の面影は無い。周りに飛び立ったガラスの破片だけが何が起こったかを物語っていたーーー



ジョニーは狂ったようにドロシーと逢っていた場所に立ち続けた。巡回する警官に咎められた直後に姿を消したが、……そうしなければどれほど良かっただろう。やがていくつもの航空会社でおかしな出来事が頻発する。



場所は変わり、上院議員ギャリソンの妻ジーネットの葬儀がしめやかに行われた。脚に刺さった釘から細菌が入って死んだのだ。しかしカメロン刑事はこれは「事件なのでは」と疑う。釘がむき出しのドアなどそう無いからだ。しかし……その予感が当たった、と知ったのはもっと後になってからだった。謎のメモととある共通点を知ってからだーーー



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「喪服のランデブー」です(・∀・)

ウールリッチ=アイリッシュ作品の中でシリーズがあるとしたら「黒〈ブラック〉シリーズ」だと思うのですがその最後を飾る作品です。うっかり忘れかけましたが思い出せて良かった←



この物語は残酷な事故ーーーというか現代だったら間違いなく過失致死傷害罪に問われるーーーで恋人を失った男の復讐物語です。ーーーと書くとすごくピカレスク・ロマンの香りがしますが目線の章は1つもないのであらすじが無かったら間違いなく復讐物語だと分からない。つーかそこまで書く必要があったのか。



……まぁ、ともかく男目線では無く、彼が手にかける夫婦、または恋人視点から物語が進むのでじわじわと近づく破局と死の気配に薄ら寒くなります。一時の熱情に身を任せた挙句滅ぼしてしまう浅はかさ愚かさは批判する前に哀しくなる。カメロン刑事も含め、誰も報われないので人間に関わる全ては儚いと思い知らされる。



……強いて救われることを言うなら1つ。ジョニー、神の裁き、というものは確かにあるよ。あの世でぜひ確かめてくれ。



「喪服のランデブー」でした(・∀・)/ 

白骨死体を複顔して真相に迫る!ーーー(*^o^*)/