焼肉屋で解散して、
酔眼で家に帰るために駅に向かって歩いていたら携帯電話のコールが聞こえた。
鞄から出してみたら知らない番号だった。知らない番号には基本的に出ない。
でも私は今酔っぱらっていたのでなんの疑問もなく、取ってしまった。
「はい、もしもひ。」
「ああ、宗田か。」
「誰?」
声に覚えはあった。
「岡村。」
「岡村くん? 番号教えたっけ?」
「康人から聞いた。」
岡村くんとヤッちゃんは中学の頃同じバスケ部だったのだ。だから結構仲がいい。
「どうしたの?」
私はよれよれの声で聞いた、と思う。
「君今どの辺?」
と岡村くんが訊く。
「えっとね。駅にいくところ。郵便局の隣のファミマの近く。」
と私は答えた。
「じゃあ俺これからそこまで行くからさ。そこのファミマで待ってろよ。」
「なんで。」
私は若干冷静になって答えた。
「なんだ、その、呑みなおうぜ。この近くに俺の好きな店あるから。
まだやってるから。」
と岡村くんは電話の向こうで言った。
のみなおす。
私は岡村くんが、よりによって岡村くんがそう言った意味を、
どんよりな頭で少しだけ考えた。