久しぶりの吹奏楽指導 | ホルン吹き竹内修「Canoro Corno♪」

ホルン吹き竹内修「Canoro Corno♪」

canoroとは「歌うような」「音色の良い」のイタリア語

今年度ほんの少しだけお手伝いしている中学吹奏楽部、先日演奏を聴き大雑把に問題は把握していました。アーテュキレーションが見えない、サウンドしない。もうコンクールまで数日なので細かいことを言っても消化しきれない。今日明日と全体の合奏リハに参加させていただきアドヴァイスをあげるのですが、こういうのって問題は実はシンプルだったりします。シンプルなんですがそこの意識を変えるのは至難の業かも。


大体中学生教える時に「息をまっすぐ入れろ!」「音符をしっかり吹け!」「音を舌で止めるな!」と言うことありませんか?「もっと大きく!」もよく言うかな。逆に「もっと小さく!」もあるか。


フレーズ吹く時に息をまっすぐ入れてたら味気ないものになります。全部の音符をしっかり吹かなきゃいけない時もありますが、いつもそうしてたらうるさいだけになります。大きい音にしようと思うときっと息だけ一生懸命入れようとします。結果体が締まり口が閉まり音程が上ずったりツボからずれて音色が硬くなったりします。音を切る時タンギングしますが音符の長さを必死に守ろうとして突くようにタンギングするとキツイ音になります。


単純な言い方をすると、管楽器は息で音が出ます。舌は音を区切ったりニュアンス作ったりします。口の中の容積を変えることで音色や音程を変えます。問題は息をどう使うか、舌含め口腔内をどう使うかです。常に変化しているので。


結論を言うと、息というのは音符ひとつひとつに「母音を歌うように」使います。舌は前の音を止めて次の音をスタートさせる。それを瞬間的にやっています。これがわかるとアーテュキレーションもはっきり出るようになってきます。タンギングは「舌打ち」ではないんです。

ダイナミクスの問題は、金管の場合大きい音を吹く時は少しピッチを低く取るくらいに口の前空間を縦に広げます。これは顎を下げる、口元を唇の中心に向かって締める、という作業になります。小さい音はその逆に近い。マウスピースを押し付ける力も考えます。この操作の中で楽器のきちんと鳴るポイントを押さえられるようにします。そうするときちんとサウンドする音が出せるようになります。口腔内もタンギングも一定では無理があります。ピアノの時気をつけたいのは楽な音域で息を支える力、アムブッシュアを抜かない、その他何か頑張っちゃう時に体が締まらないこと。というところで姿勢、下半身、腰、上半身、頭のポジションが適切かという問題も出てきます。


どれも言葉で表現しにくく、言葉だけ捉えてしまうと解釈の仕方が様々なので、私が教える時には実際それぞれの楽器でデモンストレーションして、ひとりひとりの吹き方をみた上で指導しています。こういうノウハウがわかると表現の幅が広がります。


うまく全体の音量バランスが取れない、サウンドしない、ピッチが合わない、フレーズ感がない、こういった問題は根本の問題点を改善するとすっきりする可能性はあります。今日はまだ荒削りですが部分部分でまとまりのある音がし始めました。子供は素直です。


吹奏楽の指導にお邪魔する際気をつけるのは、音楽を作るのは実際指揮される先生なので、当然そこをいじらない。その先生の求める物をどうしたら表現できるのか、ということです。そうすると自然と基礎的な技術をどう短時間で伝授するかということになります。

指導する中で「ここフォルテって書いてあるからもっと大きく吹かないと!」という指導しても、その子は「大きく吹きたくても大きく出ないんだよ…」という状態であることもあります。「音程悪いよ。チューニングした?」でも「わかってても合わないんだよ…」あるでしょう。問題はもっと違うところにあるかもしれません。指導は多角的に見る事が大切です。


明日も楽しみです。