ウインナホルンその後 | ホルン吹き竹内修「Canoro Corno♪」

ホルン吹き竹内修「Canoro Corno♪」

canoroとは「歌うような」「音色の良い」のイタリア語

前回調整に苦心したウインナホルンのその後です。


先日同じ作者(工房?)のロータリー式のホルンを持っている、と言う友人がそのホルンとガンターのウインナホルンを持って遊びにきてくれました。

そのロータリー式のホルンはF管の表裏がひっくり返ったレイアウトのもの。とても普通に、むしろ軽々吹ける良い楽器でした。私のウインナとは段違い^^;

幅広のクランツ付きで短いクルークが付いている面白いレイアウト。おそらく私のウインナより古い楽器です。


さて、この興味深い楽器はさておき、この日うちにはお弟子さんからの預かり物ウインナのエンゲル、彼の持ってきたガンター、そして私のウインナと3台のウインナホルンが並びました。お互い全部試奏。ついでにボーゲンも入れ替えて見たりしながら。



左上エンゲル、右上ガンター、左下私のウインナ、

右下そのロータリー式ホルン


エンゲルはとにかくハイピッチすぎて管が抜けそう。それ以外はまあバランスよく。ガンターはバルブセクションを外してナチュラルにもなると言う珍しいタイプでしたがとても音程もよく音色もハッキリしていて「あ!ウインナってこんなに普通に吹けるのか!」と目から鱗の楽器でした。

さてやっぱりどう考えても楽器としていかがなものかと思えてしまう私のウインナですが、まずピッチ的にかなりローピッチ。そこで思いついたのがエンゲルのボーゲンと入れ替える。案の定私のボーゲンをエンゲルに使うとピッチが下がっていい感じ。で、エンゲルのボーゲンを私のに使うとやはりピッチが上がってやはり良い感じです。そして、それ以上にこれは◎!と思ったのは今までの苦労、ツボが甘い、音色が詰まり気味、致命的に当たらないHなどが改善傾向に。


これでもう方向が決まりました。ボーゲンを変える!


以前エンゲルのお弟子さんから、某楽器店にユングヴィルトのボーゲンが売ってたと情報をもらっていたので早速問い合わせてみると、現在新品在庫はないけど中古が一つあるとのこと。何と言う巡り合わせか!と心躍り試奏しに行ったところ、ソケットが合わないのは想定内でしたが思いのほか好感触で音色の詰まりが緩和され音程も問題なさそう。問題のHもかなり当たりがつきました。これでソケットを合わせればいいんじゃないかと直感し加工してもらうことにしました。


本体をいじることも考えましたがちょっと大仕事になるので今回はボーゲン側のソケット部を新たに作って付け替えてもらいました。なのでいつでも元に戻せます。

左オリジナル、右出来上がったユングヴィルト


このボーゲンの重さが凄くて、測って見たらオリジナルは200g! ユングは110g。約半分です。作りもオリジナルは1ヶ所継ぎがあるんですがユングは1本もの。


さて、仕上がって来たので早速吹いてみると、もう全く別物です。ソケットを合わせたおかげでかなり普通に吹けるようになりました。が、ボーゲンを本体側に揃えるように持ってくると早い段階で本体に当たってしまうのでちょっと不恰好。それに置く時にボーゲンに負荷がかかります。まあ丁寧に置けばいいか。



これ以上本体側に寄せられないボーゲン。


もう一つ大きなポイントはマウスピース。今までの状態だとほぼコントロールできるマウスピースが無く、カリソンのオマケマウスピースで無理やり吹いてましたが、ボーゲン変えてWHFもJKも使えるようになりました。


左がカリソン。シャンクが細くてズッポリ刺さったので不安定な吹奏感。おかげで逆にコントロールしやすかったです。内径およそ17.5mmで浅めのUカップ。

右はWHFのカップW/G5、リムM5。これが使えるようになってよかったです。これを使って新たなボーゲンでHも音域もほぼ克服したので、全く話にならなかったフィデリオも吹けるようになりました。(なんかまだ危なっかしいけど。)

難を言えば(まあたくさんあるけど)Hは当たり易くなりましたが今度はBが今までよりセンシティブに。

まあ普段の練習には使えるレベルにまでなったのでしばらくこのセッティングでさらいます。



さてこの楽器なんですが、調べて見たらデーマルの後継者が作ったもののようです。おそらく1960年前後なのかなと思いますが詳しいことがわかりません。レバーセクションもサイズ感が大きく、そのせいでバルブまでのリンクも不自然な角度で付いています。とりあえずレバーが大きすぎて操作上問題あるので、そのうち作り変えるかもしれません。