本はよほどのベストセラーでもない限り、結構早い時期に絶版になってしまうようです。特に定期刊行の雑誌類などは次の号が出るまでの命。次の機会に買おうと思っているとつい買いそびれてしまいます。
そのため気に入った本は即購入することにしてますが、捨てるのが苦手なこともあり、一方で溜まること溜まること。昔はスキャナーで電子化を (今でいう自炊ですね) 試みたこともありましたが、手間かがかるのですぐに諦めました。
そのため気に入った本は即購入することにしてますが、捨てるのが苦手なこともあり、一方で溜まること溜まること。昔はスキャナーで電子化を (今でいう自炊ですね) 試みたこともありましたが、手間かがかるのですぐに諦めました。
…せっかく溜めたモノを某か世のお役に立てねば、ということで、昔の音楽雑誌から広告類を中心に少しずつ紹介していきます。
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上記は1987/6プレイヤーの掲載広告。フェンダー社は1985年にCBSから現在の経営陣に商権が譲渡されます。その直前、80年代前半はエレクトロポップ全盛期でシンセサイザーが主役の時代、ギター業界が冬の時代に突入した頃でした。そのころのCBSフェンダー社は、エリート、リード、ブレットなどの新作ギターも企画倒れで、アンプも長年の所謂「シルバーフェイス」(コントロールパネル部が銀色)の不評が祟り売り上げか低迷するなど、迷走状態を続けていました。
この辺については、フェンダー社自身もホームページで「時が経つにつれ、CBSの「音楽や音楽家に対する怠慢」や「理解不足」が露わになっていったのです」と語っています。要はお客さんのニーズにお構いなしで製品をつくってた、ということですね。珍しい話ではありません。
そういう状況だったため、新生フェンダー社は商品ラインアップの立て直しからスタートします。自信を持って世に出せる製品の企画と生産体制が間に合わなかったんでしょう、新体制への移行過渡期である1986年はアンプの生産はなし。当初、ギターは富士弦楽器などから、アンプについては1987年にサン社(SUNN)を買収しOEM供給を受け食いつなぎ、一方でメキシコ工場新設等により自社工場等を整備していったようです。
Champ12はそういう時期の製品で、1987年から販売されました。上記広告はその第一声だったと思われます。
米国製とメキシコ製とがありますが、前者は元のサンの工場で生産、後者は新しくできたメキシコ・エンセナダ工場で本国の設計に基づいて作られたものと思われます。「米国製の方が優秀」みたいな風評もあるようですが、きちんと品質管理してれば差はないはず、単なる迷信でしょう。最終的に、'65Twin Reverb等伝統的なフェンダーアンプの復活にあわせて、Champ12は1992年で生産終了になります。(サンのブランドは1997年に復活。)
同時期のChamp12の同族にThe Twinなどがありますが、これらには全く仕様の変わらないサンの製品が併存しています。赤ノブ(後に黒ノブに変更。でも広告のサンプルは黒だな?)、外部入力PIN端子などは、それまでのフェンダーアンプの仕様にはなかったもので、おそらく買収時のサンの既発売品をそのままフェンダーに衣装替えして出したものではないかと。
Fender The Twin (1987-1994) と SUNN The Twin
Champ12は、小型ながら12インチスピーカーを搭載しており、トモ藤田氏も練習用に使っていたとのことで、そこそこ人気があるようです。実は私も所有しておりますが、購入当初は、音は全体に硬め、オーバードライブCHはゲインを上げると爆音になるものの歪みは一定以上では頭打ち、リバーブのかかりが薄いという状態で、使えるレベルにするには多少手を加える必要がありました。
結局、スピーカーと真空管(12AX7→12AT7)を交換して爆音は抑えられ艶のある音に改善されました。クリーンは真空管ならではの潤いのある太い音で十分使えます。あと若干気になる点としては、スイッチON時に弦が振動してるとゴワーッ!と大きな音が出る、クリーンからオーバードライブへのCH切り替え時に若干タイムラグがある、というところ。これはサンの特長なのか個体差なのか?