フェンダー・アンプ by ポール・リベラ | おんがく・えとせとら

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 上はプレイヤー誌1986年1月号の掲載広告。プレイヤーは表示の前月初めに発売されるので、広告自体はさらにその前、1985年11月に作成されていると思われます。

 前回に引き続きフェンダーアンプの広告ですが、これはCBS末期のポール・リベラ設計によるIIシリーズ。右端にはエリート・ストラトキャスターが写ってます。
 フェンダーは販売不振から1985年に経営母体のCBSがブランドを売却、
ビル・シュルツら新しい経営陣は経営権は取得したものの、カリフォルニア・フラートンの工場はすでに売り払われており、製造スタッフも大半は解雇されていたと思われます。そういう背景からすると、これはCBSフェンダー時代の在庫一掃広告ではないかと。新会社への移行に当たっては、山野楽器や神田商会も資金援助を行っていたとのことなので、なおさら力を入れざるを得なかったのではないでしょうか。(プレイヤー誌自体が神田商会系の雑誌だ!)

 1970年代後半から80年代前半は、シンセサイザー等電子楽器の隆盛期でエレキギターのセールスが低調でした。そのせいか、当時の雑誌にはアンプの広告は少ない。同時期はよく歪むメサ・エンジニアリングのブギーの人気が高まっており、歪まない銀パネ時代のフェンダーアンプはウケが悪かったようです。
 メサはもともとフェンダーの改造アンプからスタートして
「小型ハイパワーアンプ」「チャンネル・スイッチング・アンプ」のパイオニアになりました。フェンダーは失地回復を目指して、流行に乗れる新製品の開発をリベラに託したのですが、上記のとおり電子楽器の隆盛やCBSフェンダーの終焉とも相まって、IIシリーズアンプの発売期間は82年から86年と短命に終わりました。


 広告の話に戻りますが、当時の定価が表示されてますね。スピーカー・オプションの関係なども含めて興味深いデータです。

・Super Champ 109,000円 (ElectroVoice10"スピーカー搭載+35,000円)
・Princeton Reverb II 145,000円 (EV12"+54,000円)
・Deluxe Reverb II 175,000円 (EV12"+54,000円)
・Concert 12"スピーカー×1…215,000円 (EV12"+49,000円)
      10"スピーカー×2…225,000円 (EV10"+70,000円)
      10"スピーカー×4…255,000円
・Twin Reverb II 290,000円 (JBL12"+134,000円/EV12"+98,000円)

 Paul Rivera


  実はポール・リベラ時代のアンプは上記以外にもあります。トランジスター・アンプも!
 下は1983年のカタログから。



 前列左から Champ II、Super Champ
 中列左から ★Yale Reverb、★Harvard Reverb II、Princeton Reverb II
 後列左から ★Studio Lead、★Stage Lead、Deluxe Reverb II



 前列左から Concert(combo)、★Montreux、★London Reverb
 後列左から Concert(head+cabinet)、Concert(10"SP×4)、★London Reverb(head+cabinet)


 Super Champをはじめとするこの時期のチューブアンプは、今なお根強い人気があります。
 IIの付くアンプは既発機種のあるもの。★マークはトランジスター・アンプ。初めて名前を知ったモノもあります。プリンストンに対して、イェール、ハーバードとは。大学の名前やね。