ハムバッカー付ストラトは誰が最初か? (その2) | おんがく・えとせとら

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 前に「ハムバッカー付ストラトの起源」は、ベイ・シティ・ローラーズではないか?と書きましたが、いろいろネットの中を探っていると、ある画像に行き当たりました。
 それがこちら。↓


 フェンダーが2011年に発表した、MC5のウェイン・クレイマー(Wayne Kramer)復刻モデル。当時の国内販売価格は138,000円+税。現在は生産終了とのことです。
 「MC5」は1960年代半ばから70年代始めに活躍したアメリカのロックバンド。
  一番のヒット曲「Kick Out The Jams」は、ブルー・オイスター・カルトのカバーで知ってましたが、例のビートクラブの映像までライブの姿を見ることはできませんでした。ライブバンドらしく現在は結構な本数のビデオが見られます。

 さて、この星条旗ペイントのストラトについて、ウェイン曰く「バンドをスタートさせる際に、アイデンティティを確立するため、派手なルックスが必要だったんだ。ピート・タウンゼンドの大ファンで、彼の英国国旗で造ったコートにヒントを得てベイントした。愛国心のアピールと、1968年頃の世の中の流れ(ベトナム戦争とか人種差別とか)への抗議の意を込めて」。
 1969年のライブ映像でその姿を見ることができますが、最初はシングルコイル×3で、PUまでペイントされていたようです。その後、センターPUがハムバッカーに変わります。



 上の2番目の写真がいつ頃のものかは分かりませんが、YouTubeで見られる72年のビートクラブ出演頃には、使用ギターがエピフォン・ウィルシャー(Epiphone Wilshire)に変わっているので、1970年前後か?
 1969年の映像では、相方のフレッド・スミス(Fred Smith)がすでにハムバッカー改造リッケンバッカー(#425/12?を6弦ギターとして使用)を使用しており、恐らくそれに影響を受けて、というか、音量負けしないよう対抗したのではないかと推測されます。その後、テレキャスターにもハムバッカーを載っけたりしていますね。

  Fred Smith


  …ということで、ハムバッカー付きストラトの元祖は、MC5のウエイン・クレイマー、時期は1970年頃。へえ!へえ!へえ!

 ちなみに、MC5の元メンバー5人中3人は亡くなってますが、ご本人は66歳の今も現役でイギー・ポップと共演してるほか、並行して行っている刑務所慰問活動
(Jail Guiar Doors USA)ではカリフォルニア州の弁護士会から表彰を受けてます。素晴らしい!