それ、すなわちイチロットン流。 | 日常 OF THE DEAD

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総合自分自身芸術家
炬燵の王様チョップ・イチロットン
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昨日、いや、これを書き終わるころにはすでに、一昨日、いや、それは今日の深夜0時すぎのことだから、やはり昨日でいいのか、いや、そこら辺は以前にもここに書いたような気もするが、とても表現しずらく、そして、よく考えれば、別に読む人は何時に読んでいるかもわからないから、そんなことは本来どうでもいいわけで、只たんにリアリティーを出したいのと、自分が気持ちが悪いというだけだから、まあ、ここは一回眠ったから“昨日”ということにしようと思ったが、そういえば夕方、出先からの帰りの食事でビールを飲み、車の助手席でウトウトと1時間くらい眠ったから、もしかしたらそれも数に入れるということになり、2回眠ったから2日経ったということで、つまり“一昨日”ということになってしまうから、やはりその考え方は却下かなぁ、なんて、こんなことを書いてると又、読む人が「面倒くせえなぁ」となってしまうのである。


昨日(あっ、結局ね)、僕の弟子のロール発射が出演したDJイベントに行ってきた。


場所は、僕たちもよくお世話になっているビリケンクラブだ。


なんでも、ロールはそのイベントに自分が出演するということを1週間前、しかもたまたま行ったうどん屋の壁に貼られていたチラシで知ったという。


要するに、一昔前のギャグでいうところの「聞いてないよぉ~!」であり、そんなギャグはないが、ロール的に普通に言うと「一週間前に聞いたよぉ~!」である。


だが、そうは言いつつも、彼は急なオファーにも嫌な顔一つせず、むしろ嬉しそうにそれを承諾した。


というのも、そもそもそれは我が『イチロットン流』の教え、「とりあえず、人からの誘いには乗っとけ」というとこから来ている。


そして、その日からロール発射の不眠の戦いが始まった。


本来、彼は真面目である。


物事に対して、しっかりと事前に下調べや準備をしてからのぞむタイプであり、特にDJに関して、そのこだわりは凄い。


しかし、彼の師事するイチロットン流の教えとはこうだ、


「どうにかなるやろ!」


そして、彼はその教えを忠実に守り、きっとギリまで、只毎晩、酒を飲んでいただけだと思う。


だが、名誉のために言っておくが、そして、只というのは誤りで、頭の中ではずっと考えているし、作品は作られているのだ。


そう、我々はいつも、その作業に重きを置き、全体の8割をそこに費やす。


そして、残りの2割が実技であり、平たく言うと突貫工事だ。


アカンがなぁ!!(ロール発射ブログ風)




金曜日、オレはいつもよりちょっと遅い21時30分頃にスタジオ入りした。


ロール発射はまだ来ていなかった。


急いで選曲を済ませ、うっかり忘れていた毎週番組内でやっているコントの台本を書き(突貫工事)、そして、一服していた。


時計を見ると21時45分。


生放送の番組が始まる15分前である。


「あれ?ロール来ないねぇ」とオレ。


「来ませんねぇ」とディレクターのマジメ君。


「あえて電話するのはやめよう」


「そうですね」


21時50分。


「チョップさん、一応ロールさんがやる分の曲紹介のやつ覚えててもらっていいですか?」


「ああ、来ない場合のね」


「しかし、“来ない”っていうのも面白いですね」


「たしかに、面白いね」


「でも、事故とかだったらヤバいっすね」


「一応電話してみる?」


「そうですね」


そして、フと窓の外の駐車場を見おろすマジメ君。


「チョップさん、ロールさんの車ありますよ!」


オレはピンときた。


「はは~ん、寝とるな」


「起こしてきます・・・」


番組開始4分前。


驚くことに、本当にロール発射はスタジオの外の駐車場に止めた車の中で、まるでそこに練炭でも持ち込んでいるかのように深い眠りに落ちていたのだ。


嬉しそうに写メを撮り戻ってくるマジメ君と、その後ろから朦朧としたロール発射。


22時、本番。


「さあ、本日もなんとか“無事”に始まりました金曜バズーカ!」


「ふへ・・・」


「ふへじゃないよ、ロール君。今週は何か面白いことありましたか?」


「・・・んあ・・・え~・・・と、ああ・・・ない!」


「はい、“ない”出ました!一曲行きましょう!」


これこそ、イチロットン流の真骨頂。



炬燵の王様




翌日(冒頭でいうところの“昨日”)、DJイベントは多くの若者で盛り上がっていた。


その日、結局一睡もしていないと語るロール発射は大きなレコード鞄を引きずり会場に入った。


もちろん、それは“残り2割の準備”を突貫工事で行っていた為だ。


応援にマジメ君と、「マーちゃんとお呼びしてもよろしいですか?」でお馴染みのマーチロックも駆けつけてくれた。


出番は0時半と遅い。


普段のイベントではロール発射が眠り始める時間だ。


だが、珍しくそんな気配はない。


酒のピッチは速いが、緊張の為か眠気はなさそうだ。


いよいよ出番。


会場の盛り上がりはピークに達している。


おま君とG・Bも心配そうに見ている。


オレはDJブースの後ろでスタンバイするロールのもとへ行き、勝手に突然のMCをする準備。


ところが、途中に機材トラブルがあったということで、なんと、ロール発射の出番は1時間押し決定!!


んあ~。


オレたちは皆で近所のラーメン屋に行った。


その後、会場に戻り、


1時半。


その日のイベントは2時まで。


つまり、“スペシャルゲスト”DJ・ロール発射は、よく言えばメインイベンターであり、そうじゃなく言えば、マニアだけが喜ぶ“特典映像”である。


だが、彼はその寝不足と疲労に耐え、立派にラストの仕事を成し遂げた。


まあ、本人的にはプレイに関して思うところや、納得のいっていないところもあったかもしれないし、もしかしたら、厳しいカミさんの叱咤激励もあったかもしれない。


だが、一つ言えることは、それも又、イチロットン流。


「芸術に失敗はない!」



炬燵の王様





その後、皆と別れ、おま君と二人でいつものコンビニへ。


時刻は深夜2時半。


買い物を済ませ、店の前でタバコを吸っていると、遥から、「ぶっごろすどぉ――!ごりゃ――!!」という叫び声が聴こえた。


振り返ると、遥か遠く、道路の真ん中を猛スピードでママチャリを走らせ、こっちに向かってくる一人の男。


そして、男はそのまま、僕たちには見向きもせず尚、「おりゃ~、ぶっごろす!!」と言いながらも、店の前にきちんと自転車を止め、ちゃんと鍵をかけ、もう一度「ぶっごろす!」と言いながら、一目散に店の中に入っていった。


僕とおま君は顔を見合わせ、「また、エライのが来たなぁ」と言いながら、大丈夫かと店の中を覗いた。


男は店内でも何やら叫んでいるようではあったが、しっかりと片手に商品を持って、きちんとレジに並んでいた。


そして、面白すぎるから見ていると、店から出てきたその男と僕は目が合ってしまい、仕方なく「お疲れさま」と言ってしまった。


すると、男は僕に「えっ、知り合い?」と言ってきた。


かなりの泥酔状態である。


僕は「いや、知り合いじゃないですよ」と言った。


横でおま君が小さな声で「またぁ」と言った。


つまり、いらんこと話しかけるなということだが、その半面、顔はちょっと嬉しそうに笑っていた。


そう、だって、おま君もそんな“面白いこと”が大好きだから。


さすが、イチロットン流の名誉顧問である。


「何かあったんすか?」と男に訊いた。


「いや、オレ、アル中だからさぁ」と男。


「えっ、自分で言う?」


横で笑いを堪えるおま君。


「うん、いや、仕事はしてるんだよ。週末だけアル中。はは・・・」


「仕事は何をしてるんですか?」


「ああ、●●金属!」


「ほう、いい会社じゃないっすか」


「そう、そして今日は会社の飲み会があって・・・」


「そこで何かあったんすか?」


「えっ?・・・」


「いや、さっき、ぶっごろすって・・・」


「いや、別に」


「あっ、そう。なら良かった」


「オレ、だって、お偉いさんだから」


「ああ、それも自分で言う」


ちょっと吹き出すおま君。


「今は“ヒラ”だけどね」


「いろいろストレスがあるんっすねぇ」


「今からどうすんの?一緒に飲みに行く?」と男


「いや、ボクたちはもう帰りますよ、遅いから」と、とうぜん断る。


「あっ、そう、残念だなぁ、そりゃ」


「何を買ったんすか、それ」と訊ねる。


「酒!明日の分」と、嬉しそうに答える男


「ああ、明日は日曜日やもんね」


「今度、飲みに行こう!」


そう言って、男は自転車に跨った。


荷台にはコウモリ傘を刺していた。


「自転車は押して帰った方がいいですよ」」


「ああ・・・大丈夫、オレ、$%●*&###・・・」


そして、僕たちも帰ることにした。


「じゃあ、おま君、また!」


「オレ、あの人と同じ方向やん・・・」


「誘われんように気をつけて」


「んあ~」



いつも、最後の最後まで、どんな面白いことが起こるかわからない。


それも又、イチロットン流。



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