『命の器』 宮本輝

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大好きな作家 宮本輝氏のエッセイ集です。


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「 命の器 」

運の悪い人は運の悪い人と出会って

つながり合っていく。


偏屈な人は、偏屈な人と親しみ

心根の清らかな人は

心根の清らかな人と出会い

そしてつながり合っていく。


「類は友を呼ぶ」という

ことわざが含んでいるものより

もっと興味深い法則が

人と人との出会いを

作り出しているとしか思えない。


仏教的な言葉を使えば

宿命とか宿業であったりする。

それは、事業家にも言える。


伸びていく人は

たとえどんなに仲が良くても

知らず知らずのうちに

落ちていく人とは疎遠になり

いつのまにか自分と同じ

伸びていく人と交わっていく。


たくらんで、そうなるのではなく

知らぬ間に、そのようになってしまうのである。



抵抗しても、抵抗しても

自分という人間の核をなすものを

共有している人間としか

結びついてゆかない。


私は最近やっと

この人間世界に存在する

数ある法則の中の一つに気が付いた。


「出会い」とは、決して偶然ではないのだ。

でなければ、どうして「出会い」が

一人の人間の転機となり得よう。


どんな人と出会うかは

その人の「命の器」次第なのだ。


本文より…







感想…



宮本輝氏の考え方や生き方


そして生い立ちなど、他の作品にはない内容で


とても興味深く読み進んで行けました。




類は友を呼ぶ…


あきらかに不釣り合いな雰囲気の夫婦でも、その考え方の底には共通するものが流れていたり



友人なども、同じ傾向性を持つ人が仲良くなる…



結局、縁のある人というのは、命の芯の部分で同じものを持っている


伸びて行く人は、自然に伸びて行く人と繋がり


落ちて行く人とは、自然に疎遠になってゆく…




別れと出会いを繰り返し、距離を置き置かれ、また出会い


厳しい法則のようだけれども、自分の人生を振り返った時


その法則は厳然と存在するのだと、つくづく思う。




この先の人生、どんな人と出会えるか


それは、自分の命の器次第。



心根の良い、聡明な人と出会うためには


まず自分の命の器を磨いて行かなければならないと思う。




深く心に沁み入る作品でした。



おすすめの一冊



宮本輝氏…大好きな作家です。









お口直しにフォト!!




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