うさぎ以外ウサギじゃないの? | どうぶつびより/イングランドの丘

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「淡路ファームパーク・イングランドの丘」動物飼育スタッフによる公式ブログです。時にゆる〜く、時にまじめに、動物たちの魅力を毎日お届けしています。⊂((・x・))⊃


昨日こちらで紹介した、園内のヒマワリの葉を食べてしまう謎の獣。ヒマワリ
その正体はこの画像から察するに、うさぎのようですね~。ウサギ
まさか「ふれあい広場・うさぎのくに」から逃げ出した!?あせる
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いえいえ、よ~く見てください。しゅっとした小顔にしっかりとした肩から胸にかけてのライン、そして逞しい大腿部の筋肉。柔道

ん~、美しいフォルム!キラキラキラキラキラキラ{7ED9A461-7750-44E3-9780-645398E1A799:01}


そう、このうさぎは「ニホンノウサギ(Lepus brachyurus)」です。

つまり、私たちが飼育したりふれあったりと馴染みのあるうさぎたち、すなわち「アナウサギを改良したカイウサギ(Oryctolagus cuniculus)」とは分類上「属」レベルで違う全くの別種になります。サーチ

アナウサギ(カイウサギ)とノウサギの違いは、以前こちらでいぬいさんが詳しく書いてくれてますので是非ご覧ください。本


ノウサギは夜行性で、ノウサギが普段活動する時間帯には当園のうさぎたちはみんな舎内に収容しているので、柵越しとはいえこの2者が出会うことはありません。NG

画像の個体はなにかの気まぐれで昼間に出てきたようですね。OK

このノウサギ、柵越しに自分の姿に似た外国産のアナウサギを見て何を思ったのでしょうか。(´-`).。oO(

ついそんなことを考えたくなるワンシーンです。ニコニコ


ちなみに、ニホンノウサギは4つの亜種に分かれていて、このことはラビットワーレン内でも解説しています。サーチ{56E05075-BAFC-4B72-A390-1F7C81D64809:01}

本州の日本海側に生息するトウホクノウサギ、佐渡諸島に生息するサドノウサギ、隠岐島に生息するオキノウサギなどがいますが、

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最も日本に広く分布していて、本州の太平洋側、四国、九州に生息しているのが今回出没したキュウシュウノウサギ。ひらめき電球
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漢字にすると九州野兎。本州や四国にも住んでるのになぜ九州をリスペクトするの?と言いたくなりますが、そこは生物学のややこしいところ。あせる

例えば、学者がある生物を学会に新種として発表し登録されるとします。ひらめき電球
その際、論文を書く時に用いられた標本を提出する必要があり、この標本をタイプ標本と呼びます。メガネ
そして、キュウシュウノウサギの場合はタイプ標本の個体が長崎県産だったのでキュウシュウノウサギと命名されたようです。なんだかなぁ…という理由ですね。(笑)汗

ちなみに、動物園において学術的にはカタカナ表記で「ウサギ」と書くのが一般的ですが、当ブログや園内でウサギ目ウサギ科の動物全般を指して「うさぎ」とひらがなで表記することが多いのは、うさぎのもつ柔らかさ、しなやかさ、かわいらしさを表現するため、というささやかなこだわりです。ウサギ
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担当 ごとう