先日からメディアを騒がせていたバニラ・エア問題。
今度は大手ニュースサイトで
『自力でタラップを這い上がった、車椅子の青年へのバッシングはおかしい』
という記事を読みました。
確かに、Twitterを中心に、この青年への批判は非常に多く見られます。
なぜこの青年がこうも批判されたか。
それはこの青年が自称『空飛ぶクレーマー』であり、今までも数々の航空会社とトラブルを起こしてきた人物であり、また車椅子利用者であることをあえて事前告知しなかったという点にもあるかと思います。
しかし、それ以上に思う事は。
『大手メディアがこの問題を弱い者いじめという構図で報じたから』
という点が大きかったのでは無いでしょうか。
強者(航空会社)が、弱者である障がい者をいじめた。手で這わせてタラップを昇らせた。
という誤解を生むような見出しをあえてつけた事に問題があったように思います。
先日も書きましたが。
この問題は誰が悪いかという問題ではないと思うのです。
悪いと言ったら、車椅子の人も利用できるようにしなかった航空会社も悪ければ、事前告知をしなかった青年も悪い。もっと言ってしまえば、障がい者補助に必要な器具を買う際に補助金も出さないで勝手に法律だけを押し付ける政府だって悪いのです。
逆に悪くないと言えば、経費やサービスをぎりぎりまで削って格安航空券で大手航空会社と差異とつけようとしている渦中の航空会社も悪くない。かといって、車椅子だからといって格安航空券で旅行を諦めたくなかった青年も悪くない。
政府だって、そうそうはお金を出せない。
単純な善悪の問題ではないのに、メディアが一方的に航空会社を悪者にしてしまったからこそ、反動で車椅子の青年へのバッシングが過熱してしまった。
今回の件は、障がい者と健常者が共存するにはどうすれば良いかという問題と同時に、マスメディアのあり方が深く問われた問題では無かったでしょうか。
本来ならば、もっと綿密な取材をして客観的な報道をし、見出しもセンセーショナルにあおるものは控えるべきだったかと思います。
まぁ、『売るため』には単純な弱い者いじめの構図として記事を構成し、さらにショッキングにあおるタイトルが必要だったのでしょうけれど。
こういうやり方でないと売れないというのならば、メディアはそのあり方を根本的に問い直す事が必要なのではないでしょうか。
追記。
このブログを書いた30分ほど後に、下記の記事を見つけました。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1706/28/news109.html
内容をかいつまんで説明すると、『車椅子である旨を事前連絡いただければ、たいていは搭乗可能である』とのこと。
こうなると、航空会社も悪いとは、私は言えないですねぇ・・・
矢面に立たされた、副社長さん、本当に気の毒になってきました。