ある深夜、下塚さんがアルバイトの休憩時間に仮眠を取ろうと車に戻り、暫くすると、目隠しの為にフロントガラスに広げていた模造紙に音もなく皺が寄りはじめました。
その皺は驚くことに段々と人面を形取ってきて、何かを語りはじめました。
「何だ、何だ!」
最初、何が起きたのか訳が分からず、私はただ狼狽するだけでしたが、やがて輪郭を顕わにした人面は、髭を蓄えた初老の男の顔であることが判別できました。
「誰だ、お前は!」
『神の選択』より抜粋
その男の声は聞こえないのでテレパシーで意思の疎通を図ると、そのメッセージを理解でき、今度は模造紙に見覚えのある情景が形造られてきました。
2千年前の事件です。
この場面に出てくるペテロとは、キリストの12使徒の筆頭で、他にもヨハネ、ヤコブ、マタイ、ユダなど、とても有名な使徒達がいます。
12使徒について判り易くまとめてある、絵描きさんのつくったサイトがありますので御参考にしてみてください。
PAINTWEB 十二使徒の象徴-図像解釈と持ち物
ペテロの語る内容は、行間を読む事によって御解釈ください。
この本の主題とかけ離れたところでの争論は無益となります。
ここで語られる内容は、あなたの感じるがままに御受け取りください。
ポイントは、紙が勝手に波打って人面を為したことや語りかけてきたことではなく、その事象をきっかけとして、それまでの筆者のさまざまな経験の記憶が連動・連結して、真理に気付いたことにあります。
この時、下塚さんは悟りを得て、一霊能者や一超能力者ではなく、大袈裟な書き方かも知れませんが、イエスや仏陀の様に人々に愛や法を説き、その上、人間の存在理由までをも伝える方となり、真の意味で鎮魂法を卒業したのだと言えます。
この悟りは、第二章において詳述されます。
例えとしてイエスや仏陀の名を挙げましたが、彼等は信仰の対象にもなりうる開祖でもあり、敢えて断るまでもありませんが、その点では異なります。
下塚さんの説くものは人の道であり、思想哲学の求める究極の真理とも言え、宗教とは異なる、ということを強調させて頂きます。