冬を一枚の絵にするとしたら、僕の頭には灰色の海が現れます。
なるだけ大きなキャンバスに、なるだけ少ない絵の具で、静かな灰色の海を描きます。
美しいとか寂しいとかを超えたところで、ただただ静かな海を描きます。
冬というのはそういう季節です。
小屋入りが始まりました。
明後日が初ステージです。
良い演技を見せたいと思っていた一年前を思い出しながら、
良い劇を見せたいと思っている今に気付きます。
そのことに気付いたとき、
どうしても灰色の海だけでは物足りなくて、
僕はその真ん中にろうそくを浮かべます。
なるだけ曖昧なオレンジ色の火を点けます。
冬というのはそういう季節です。
静かであって、ひんやりと温かい季節です。だからちょっぴり感傷的になれる季節です。
そんな季節にぴったりの作品です。
劇団綺畸2014年度冬公演『CR ともだちこれくしょん』
お楽しみに。
役者二年 久保勇貴