「終戦記念日」と「連合国との間の戦争状態終結の日」との違い | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

社民党は、今日の終戦記念日に、あえて「敗戦71年にあたって」という声明を発している。
あたかも、今日は終戦記念日ではなく、敗戦記念日ですよ、と印象付けるような声明である。

今日の日本において「敗戦」を強調することにはどんな意味があるのだろうか。

先の大戦における日本の敗戦を悔やんでいる方々が「敗戦」を強調するのは分からないでもないが、社民党は平和を志向する政党のはずだから、今日の終戦記念日にあえて「敗戦」を強調したくなる心情がよく分からない。

確かに敗戦には違いないのだが、敗戦とは呼びたくない、終戦がいい、と思っている大方の国民の気持ちが分からないのだろうか。

敗戦という文字を見れば、次は勝利するぞ、ということにもなりかねない。

勝った、負けた、とは言いたくないから、これで戦争が終わった、さあ、新しい出発だ、と思い込もうとした人々の気持ちを逆撫でするようなことを、何故、社民党の皆さんは今するのだろうか、と唖然としている。

かつての社民党よりもどんどん尖っていっているようだ。

敗戦と言いたくない人は、停戦と言う。
私は、終戦祈念の日、とあえて言う。

言葉の問題は、案外重要である。

さて、皆さんは、今日の終戦記念日をどう捉えておられるのだろうか。

ちなみに、戦後史に詳しいと思われる方がこんなことを書いておられた。皆さんのご参考に供したい。

「8月15日は終戦の日ではなく、「大東亜戦争終結ノ詔書」が玉音放送で、国民及び陸海軍に伝えられた日で、大本営は「別に命令するまで現任務を続行」と命令し、16日に自衛の為の戦闘行動以外の戦闘行動を停止するように命令を出しました。
18日には、全面的な戦闘行動の停止は、別に指定する日時以降に行うように命令を出し、19日に、第一総軍、第二層総軍、航空総軍に対して、8月22日零時以降、全面的に戦闘行動を停止するように命令し、9月2日に、昭和天皇は「誓約履行の詔書」を発し、日本全権大使の重光葵外務大臣が連合国に(対する)降伏文書に調印しました。

1951年9月8日、サンフランシスコ平和条約が調印され、1952年4月28日をもって、国際法上、正式に日本と連合国との間の「戦争状態」は終結することとなったのです。」

筆者は、中谷元さんのようである。

今日の終戦記念日に出されたメッセージは決して疎かにしてはいけない。

さすがに、自民党の方々は周到だと思う。

参考:社会民主党の声明

「敗戦71年にあたって(声明)

社会民主党

1.第二次世界大戦の終結から71年目を迎えました。戦争の犠牲となって斃れ、傷つき、苦しめられた国内外のすべての方々に、心から哀悼の誠を捧げるとともに、遺族の皆様にお見舞い申し上げます。悲惨な戦争体験による深い傷は、71年経っても消えることはありません。わたしたちは、「軍国主義」時代の日本が突き進んだ無謀な戦争の歴史をしっかりと見つめなおすとともに、戦禍を生き延びた人々の総意となった「平和主義・立憲主義・民主主義」の意義をあらためて胸に刻み、二度と戦争をしない、させないという誓いと決意を新たにします。

2.戦後の日本は、日本国憲法を礎とした民主的な「平和国家」として歩み、他の国々との信頼関係を築く努力を積み重ねてきました。しかし安倍政権の発足以降、憲法解釈は捻じ曲げられ、戦前回帰への扉が開かれようとしています。集団的自衛権行使容認の閣議決定と、今年3月に施行された「戦争法」によって、自衛隊の活動範囲は大きく広げられました。自衛隊が「専守防衛」から世界の紛争に加担する「軍隊」となれば、日本国憲法前文に示した全世界の国民の「平和的生存権」を踏みにじることになり、日本への信頼も「平和国家」としての歩みも崩壊します。なんとしても「戦争法」廃止と閣議決定の撤回を実現させて、「戦争できる国」への暴走を止めなければなりません。

3.地上戦が行われた沖縄は、戦後もずっと「捨て石」として「日米同盟」強化の犠牲の最先端におかれてきました。過重な米軍基地負担や治外法権ゆえの人権侵害・蹂躙に苦しみ続けた沖縄の「怒れる民意」は、「オール沖縄」の闘いに示されているにもかかわらず、安倍政権は、沖縄振興予算の削減をちらつかせるとともに、機動隊を全国から総動員し、東村高江の米軍ヘリパッド建設工事を暴力的に再開し、また辺野古新基地建設に向け、和解協議を無視した違法確認訴訟などを強行し、県民の民意と地方自治が圧殺されています。社民党は、日米両政府による暴挙を決して許さず、辺野古新基地建設阻止、高江ヘリパッド建設阻止、オスプレイ配備撤回、在沖米軍基地の縮小・撤去、日米地位協定の全面改正をめざして闘い続けます。

4.今年5月、原爆投下国である米国の現職大統領として初めて広島を訪問したオバマ大統領は、あらためて「核なき世界」を実現する決意を表明しました。世界には、原子爆弾の威力をはるかに上回る1万5千発を超える核兵器が存在しています。オバマ大統領が例えた「死神」の原爆は、人間が生み出した極めて非人道的な「絶対悪」であり、その脅威を知る唯一の被爆国である日本こそが、核兵器を廃絶する運動の先頭に立つべきです。また、福島第一原発事故による「見えない核」の脅威も、いまなお多くの人々を苦しめ、「核と人類は共存できない」ことを知らしめています。「原発事故を起こしたから、世界一厳しい安全基準だ」と日本の原発を売り込む安倍首相の独善は、被害者の存在が認識できない「見えない核の脅威」にほかならず、原発再稼働や原発輸出を許すわけにいきません。

5.戦後71年が過ぎ、戦争犠牲者・戦争体験者そして遺族の皆様も高齢化が進み、戦争体験と平和への思いを風化させることなく、いかに次代に繋いでいくかが大きな課題となっています。また、「戦争被害受任論」に立つ政府は国の責任を認めようとはせず、原爆被害者の救済も不十分であり、沖縄戦の被害者や空襲被害者をはじめとする民間人犠牲者への補償も切り捨てられたままです。戦後補償は今もなお終わってはいません。政治の責任にきわめて重いものがあることを痛感し、社民党はすべての犠牲者・被害者の補償・救済に向け、一層の努力をして参ります。

6.日本はこれまで、平和憲法の下で「戦争しない国」を貫き、憲法9条は「世界の宝」として多くの国々の信頼と羨望を得てきました。社民党は、平和を希求するすべての人々とともに、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにする」との決意を固めあい、憲法改悪を断固阻止します。そして、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認した憲法前文を具現化する世界の「恒久平和」の実現に向けて、これからも努力し続けることを誓います。」